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球児の夢
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球児の夢 11

カーン
北山は天を仰いだ。
5回戦の相手は今大会Bシードで、昨秋の県大会で準優勝した強豪の翔星大附属だ。
絶対的エース小林を欠いた国浜には厳しい試合となった。
北山が登板するも翔星大附属の打線に打ち込まれ、3−11の7回コールドで敗れた。
球児達の夏が終わりを告げた。

試合終了のサイレンが鳴った。
悔しがる者、泣く者、俯く者がいた。
以前の彼らなら、そんな素振りを見せることはなかっただろう。

彼らの成長の証だろう。

失意の中、学校に帰ってきた選手達。
すると、大橋と松葉杖を持った小山が待ち構えていた。
「みんな、お疲れさん」
小山が皆に声をかけた。
「小山、足は大丈夫か?」
沢井が小山に話しかけた。
「まあな、リハビリも順調だ」
「大橋は?」
「ああ、容体が安定してるから外出してもいいってさ」
大橋は穏やかな表情で言った。
「スマン!」
阿久根が頭を下げた。
「お前達のためにも、甲子園に行くって約束したのに…」
「バーカ、頭上げろよ」
小山が声をかけた。
「そんな簡単に甲子園に行ける訳ねえだろ。世の中そんな甘くねえよ」
小山は続ける。
「春先まで一勝も出来なかったチームが夏だけで四勝もしてんだ。胸を張れよ」
「…そうだな」

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