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殺し屋のあなた
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殺し屋のあなた 18

「組織があんた達を見捨ててたら?だから組織って嫌よね〜。レイザー達も組織なんて早く卒業してフリーになっちゃえばぁ?」
ルナは笑って言う。
「それが出来たら苦労はしないの、ルナ。組織を抜ける事の大変さはあんたが1番知ってるじゃない。」
カノンの問にルナは笑って頷く。そう、ルナは組織に席を置いていたことがある。
「いいわね、あんたは強くて。」
カノンは厭味ったらしく言う。
「まぁね〜。」
ルナは余裕で答える。ルナは組織を抜けた後、自分を殺しにきた奴らを返り討ちにした。
「・・・カノン」
「な〜に?」
レイザーはカノンにジュースの入ったグラスを手渡した。それはオレンジジュースだった。
「飲んで、寝ろ」
「お酒じゃあるまいし・・・」
カノンはぐっと飲み干すと、頭をグラグラと揺らし、そのまま倒れこんだ。
「さて、ラスト・・・。ここからは、この仕事に関係ない話なんだが聞いてくれるか?」
レイザーの眼はいつになく真剣で、真っ直ぐにラストを見た。
「どうぞ」と軽くラストが促した。
「俺達はまだ『狩り』にあっていないんだ。だが、そろそろ狩られると思う」
「そりゃまたどうして?」
「上層部に気に入られてないからさ」
「大変ね・・・」
ルナも会話に参加する。
「そこでだ・・・俺の全財産をはたいてでも、お前に頼みたいことがある」
「・・・言えよ」
レイザーは少しだけ目を伏せた。
「もし俺が死んだら・・・カノンを・・・守ってやってくれ」
「・・・俺に聞くのはお門違いだな。ルナに聞いてくれ」
レイザーはまだラストを見つめ、そしてゆっくりと膝をついた。

「まだ死ぬって決まってないじゃない。それに、全財産なんか頂かなくてもカノンは守るし、あたしの目の黒いうちはレイザーも殺させはしない。」
ルナは静かに、冷静に言葉を続ける。
「それに、あんた達を殺せる人間はたいしていないのよ。そんなに重く考える必要ないんじゃないの?」
「…だな。」
ラストはルナの言葉にただ頷いた。
「それならいいんだが…。」
レイザーは何か心配事があるのか、表情が曇っている。
「何よ?何か不安なの?」
「・・・もういい。ところで今日はここで寝ていいのか?お前達のベッドじゃないのか?」
レイザーはベッドに寝ているカノンに顔を向けると、小さく、そして優しく微笑んだ。
「いいのよ。私とラストは違う部屋で寝るから」
「そうか・・・ところでラスト」
レイザーの嫌味な笑みが見て取れた。
「避妊はちゃんとしろよ」
ドゴッ!!・・・と虚しくレイザーの頭は鳴いた。

「まったく・・・どうしてあそこまで品がないんだか」
「・・・」
ルナは一人で黙り考えていた・・・。それをラストは黙って見つめたが、急にルナの前に立ち、道を塞いだ。
「どうしたのさ?ラスト」
「何を考えてるんだ?はっきりとわかるように言ってくれ」
その言葉に、ルナは目を背けた。こんなことあるはずない・・・しかし、もしかしたら・・・。
「もしかしたら・・・あの二人本当に死ぬかも。なんて事を考えてたの」
「お前も・・・だったか」
「えっ?」
二人はゆっくりと歩きながら話し出す。
「ディルの情報によると・・・って言っても、少し前だけどな。組織最強の男が『狩り』の依頼を受けたんだとよ」
「・・・ふん。『JOKER』かしら?」
「・・・またの名を『死神王』・・・。あいつはやっかいだぞ」
「まっ、そんな情報あてにはならないわ」
「だけどディルの情報だぜ?」
「あてには・・・ならないのよ」
ルナの周囲を取り巻く、空気が変わる。それは冷たく・・・悲しかった。

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