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殺し屋のあなた
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殺し屋のあなた 19

「プロイバ様!プロイバ様!どうかご返事を!」
もうほとんど日が上り、世のお父さん方が出勤する時刻、クリス・クールライド・クロス・カズマン、通称C4は、以前麻薬の取引に使っていた廃ビルの中で、自分の雇い主の名前を叫んでいた。
「ここで落ち合う算段なのだが…」汗をかいているが上着は脱いでいない。
「くそっ!たった二人の護衛では足りなかったのか」悪態を突くが、足と目の動きは止まらない。
「クリス」
「っ!」
声のする反対側に一歩引き、背広の下に手を入れ身構えたが
「プロイバ様…申し訳ありません。遅くなりました」しかし、声の主はプロイバだった。「それで?」
「はい?それで、と申しますのは?」
意味が分からず聞き返すクロス。
「カノンとレイザーは、うちの護衛共は何をしていた!あの黒いピアスを付けた男はなんだ!事情を説明しろ!」
廃ビルにわんわんと響く声で怒鳴るプロイバ。
「は。申し訳ありません。屋敷内にプロイバ様の命を狙う賊が進入しまして、まずプロイバ様の身を第一優先とさせていただきました。私の知る中でここが最も安全な場所なのです」
「く…殺し屋か…儂の政治活動反対者の仕業か?」
「恐らくそのようです。しかしご安心下さい。現在私の部下が警察に通報しているはずです」
「な!警察にだと!?」
警察、という言葉に異常に反応するプロイバ。
「はい。警察にです。警察が動き出せば、画策者は警察を通じてマスコミから世間に情報が流れ出し、事が大きくなるのを恐れて、手を引くはずです」
「ダメだ!」
「え?」
「今すぐ部下に連絡をしろ!警察はだめだ!」
「しかし、」
「喧しい!儂の言うことが聞けないのか!」
理由も言わず激昂するプロイバ。
クロスは逡巡したのち、部下に連絡を入れた。
数分後クロスはプロイバが落ち着いたところを見計らい、訊ねた。
「プロイバ様、私に何か隠していませんか?」
「五月蝿い!」
プロイバはクロスを黙らせた。
クロスはそれ以上、何も言わなかった…。

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