Gear〜鍵を成す者〜 30
「ゴンドラの城の中で捕まってます」
「城の中で捕まってる?」
「どうやらリオは世界を繋げたくない者たちに接触していたようです…、ゴンドラと我々は世界を繋げるという目的は同じですが、彼等に世界を繋げさせてはいけないのです」
「ふーん、難しいな…」
「我々のしなくてはいけない事は一、城に侵入しリオを連れ出す、二、鍵を穴に落とす、三、“マーリン”の下へ集まる、四、その時交戦中であろうゴンドラ、エクセリヲンの司令部を占拠する事。ここまでが我々の仕事です」
「おいおい、二つも国を相手するのか?」
「大丈夫、戦力を削いでから奇襲をかけるので問題はないでしょう」
「…分かった、でいつ城に侵入するんだ?」
シオンは振り向くと笑顔で答えた。
「今からです」
「ここは…」
暗く肌寒い場所にリオはいた。目の前には鉄格子とどこまで続くのか分からない闇が広がっていた。
「逃げないと」
リオが鉄格子に手を当てるとバチバチと音をたて、鉄格子は曲がっていく。大きく曲がった鉄格子の間からリオは抜け出した。そして深呼吸をする。
「ふぅ…、ん?」
リオは訝し気な顔をした。ゆっくり屈んで地面に触れる。
「これは封術(ホウジュツ)文字…」
リオが顔をあげると、石畳の床には小さな文字が数えきれないほど刻まれていた。
「牢の外はしばらく錬金術が使えないって事か…、無事に帰れるかなあ…」
リオは苦笑いをした。石畳をゆっくりと踏みしめて歩き始めた、罠がないか注意しながら進んで行く。
リオが歩いていると、どこからか唸り声のような音が響いてきた。道は一本道、前に進むにつれてその音は大きくなっていく。
「これは錬金術なしで化け物退治かな?ははは…」
グゴォォォ…、リオはいつの間にか大きなホールに出ていた、不気味な声が頭の上から聞こえる。
「参ったなあ、武器、武器…」
リオは一応周りを見渡したが、思った通りそこには何もなかった。