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史上最強の王女
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史上最強の王女 3


「クリスぅ〜っ!!!!」
「大丈夫でしたか!?」
「姫様!」
「よくぞご無事で…!!」
突然、沈黙は破られた。
部屋の扉が開き、7〜8人の男女が飛び込んで来たのだ。
皆、ドレスや燕尾服や軍服で着飾っている。さっき出て行ったメイドの少女も一緒にいた。
「な…何だ何だ!?」
「クリスぅ〜っ!!良かったよぉ〜っ!!」
クリスが呆気に取られていると、その中の一人がしゃしゃり出て来て、涙を流しながらクリスに抱きついて頬ずりしだした。
30代半ばくらいの金髪の男性で、やや古めかしいデザインの軍服に身を包んでいる。その胸にはいくつもの勲章が輝いており、かなり高位な人物である事が分かった。
「お前に何かあったらと思ったらパパは心配で心配で…本当に無事で良かったぁ!!」
「パ…パパぁ?あの失礼ですが…」
クリスは男の顔を押し返して言った。
「私のオヤジはしがない田舎の農夫です。貴殿のような紳士を父に持った覚えはございません!」
「またまたまたぁ〜!いつからそんな冗談が言えるようになったんだい?私の可愛いク・リ・ス♪」
(何なんだコイツは!!?)
その時、ふとクリスは違和感を覚えた。目の前の男に対して自分の体が異様に小さいような気がしたのだ。そりゃあ男性と女性だから体格差はあるだろうが、そんなレベルではない。大人と子供くらいの違いを感じる。
自分の体に何らかの変化が起きたらしい。
声の事も含めて彼女はそう思った。
「鏡は!?」
クリスはメイドに尋ねた。
「鏡…ですか?」
「そうだ!鏡が見たい!!」
「鏡なら、そこにありますよ?」
年下の方…先ほどマリーと呼ばれたメイドが部屋の隅に置かれた姿見を指差して言った。
「すまん!」
クリスは急いでベッドを飛び出すと、裸足のまま鏡の前に走って行った。
「……」
クリスは言葉を失った。
鏡の中には10歳前後の美少女が立っている。
背中まである髪は透き通るような金色で、わずかにウェーブがかかっている。
瞳は澄んだ空色。
白い肌に、ほんのり赤味のさした頬。
ヒラヒラのドレスに身を包んだその姿はまるで人形のようだった。
「これが…私?」
その可愛らしい姿にクリス自身、見とれてしまう。
「一体どうしたんだいクリス?鏡の中の自分に見とれるなんて、パパちょっと将来が心配だよ」
そう言いながら男はクリスに歩み寄り、背後に立って彼女の小さな肩に手を置いた。
「…ま、無理もないけどね!こんなに可愛いんだもの!私に似て」
それに対して周囲の面々は何も言わず、ただ苦笑するのみ。
(…どうやら私は魂のみ別人の肉体に乗り移ってしまったらしいな…)
最早そうとしか考えられない。しかし、そうだとしたらこの少女の意識はどこへ行ってしまったのだろう?どうやら彼女もクリスという名らしいが…。

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