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Gear〜鍵を成す者〜
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Gear〜鍵を成す者〜 12

「謝罪はいい、敵を迎え撃つ準備をしろ……いい機会だ、我らの力を思い知らせてやれ」
カッツの口元が静かに笑った。

「そろそろでしょうか?」窓の外を見ながらシオンはつぶやいた。
「何か見えるんですか?」ベルーナは立ち上がり窓に近づいた。
窓から外の通りを見下すと、そこには緊張した面持ちの兵士達が行進していた。
「戦争でも始めるつもりですかね」冗談交じりにベルーナが言った。
それにシオンが笑顔で答えた「そうですよ」
しばらく沈黙が二人を包み込んだ、そしてシオンは頷き、口を開く。
「そろそろ行きますよ?今なら城の中、手薄になってます、きっと」
ベルーナが頷き、二人は宿をあとにした。
兵士達の流れに逆らいながら二人は進んでいく。
行進している兵士達は皆、肩に銃器をさげていた。それは細長い形状で、筒の上にナイフのような物がついている。
二人は兵士と擦れ違う度に視線を感じていた。
「シオン……私たち怪しまれてませんか?」ベルーナが心配そうな顔をみせた、それとほぼ同時に、二人の背中から声がした。
「そこの二人、待ちたまえ」野太い声。
二人が振り向くとそこには、髭を生やし、まるまると太った男が偉そうに立っていた。
「ご婦人方、どこへ行かれる?外出禁止令を聞いていないので?」
「ちっ偉そうにしや――」
悪態をついていたベルーナの頭が、下へ押さえ付けられた。
「申し訳ありません、私たちは緊急で城に呼ばれたのです、これを」シオンは男に紙を渡した。
男の顔が一瞬ひきつった。
「わ、分かった…行ってよいぞ」男は紙をシオンに返すと、逃げるようにその場を去っていく。
「シオン?何があったんです?」
「この紙ですよ」シオンはその紙をベルーナに手渡した。
「………」眉間にしわをよせるベルーナ。
「あ、一番下のサインに注目してください、それ……カッツのサインなんです」
「カッツってあの城にいた?」
「はい、彼です」ベルーナが聞いて、シオンが即答した。
「……すごい、いつの間にこんな物を?」

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