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ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

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ドラゴンクエスト[〜それから〜 52

「父さんは“あいつ”に殺されたんだ…」
エイクの手に力が入る。
「…私の兄もドルマゲスに殺されたわ、そして仇をうった…でもあまり良い気分じゃなかったの…」
ゼシカは俯いた。
「分かってる、僕たちが倒すべき相手は漆黒の騎士、ランキヌじゃない…竜王を討つ!!」
足音が二人に近付いてくる、逆立った白髪に白い髭、それはグルーノだった。
「やはり気付いたか」
彼は淋しそうに、血は争えんなと呟いた。同じく墓前に座り込む。
「わしは許せなかった。種を越えた愛なぞ…。だがな、」
そして墓標に手をあてる。エイクには、まるで父の頭を撫でているように見えた。
「人間界へと追放されるお前に着いていく時、わしには何の迷いもなかった…」
その手は、愛しい孫の頭を優しく撫でた。
「大きく、なったな」
エイクの頬を涙が滑り落ちる。
「はい……!」
グルーノは目を細めて笑い、すっくと立ち上がった。
「よし、戻るとするか。『試練の書』の解読は終わったぞ」
エイクにはグルーノの姿がとても頼もしく見えた。


「竜王との戦いは今回が最後となるであろう、今回は『勇者の一行』味方についてくれたのと、敵の隠れ家が分かっている…勝つ条件はそろった!!絶対に勝つぞ!!」
ハクが剣を天高く掲げると同時に、一斉に兵士たちの雄叫びが聞こえる。
「どうした、エイク?」グルーノが心配そうな顔をする。
じっと一点を見つめたままのエイクに、思わず声をかけたのだ。しかし、グルーノの声も聞こえないのか、彼は黙ったままだ。
「?」
仲間たちも、それぞれがエイクを見やる。多くの視線を感じて、やっとこさ彼は顔をあげた。
「……ん?」
ククールが小さくため息を吐きながら、エイクの肩をバンと叩いた。
「おまえ、どーしたんだよ?気合い入れねぇとヤられるぞ」
エイクは少し笑って、「ごめん」と謝った。彼がこんな表情をしている時は、決まって何かを思案中だ。みなはエイク自身から言い出すまで待つことにした。

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