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ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

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ドラゴンクエスト[〜それから〜 51

試練の書をなぞるグルーノの指先を見つめながら、エイクは話を聞く。
「彼等のしている腕輪、それを使う事で彼等はその体を維持している」
「じゃあ、その腕輪を破壊すれば兄貴は元に戻るんでがすね?」
喜んだ顔をするヤンガス。
「うむ、その為にも竜王の隠れ家に行く必要があるだろう」
四人はそろって頷いた。
「解読にもう暫くかかりそうだ。その辺を見てくるがよい」
そして、グルーノは『試練の書』に覆い被さるようにして読み出した。
「隠れ家に突撃するんですもの。道具を調達しにいきましょ!」
ゼシカの提案より、みなは店へと繰り出した。エイクは一人、門の外を見やる。
「どうした?エイク」
エイクはずっと、里の外で見かけた墓標が気になっていた。
「すぐ戻る」
そう言い残して、一気に駆けていった。
何の手向けもない墓の前に、エイクは片膝をついた。軽く砂埃を払うと、うっすらと刻まれた字が浮かび上がる。風化して読みにくくなっていたが、確かにエルトリオと読めた。
「……父さん?」
エイクの声は微かに震えていた。

「兄貴はどうしちまったたんでがしょ?」
ヤンガスが武器を物色しながら、隣にいるククールに尋ねた。
「さあな。アイツのことだから、何か調べてんだろ」
「ゼシカ、今度チーズケーキ…」ヤンガスが辺りを見渡すと怪訝そうな顔をした。
「ゼシカがいないでがす…」
「どこ行っちまったんだ?」


「エイク?」エイクの背中からゼシカの声がした。
「あ……」
いつもは笑顔で答える彼の瞳は、ほんの少し潤んでいた。ゼシカはそれに気づかぬ振りをして、隣に座り込む。
「ごめんね。邪魔だったかしら」
「いや、大丈夫だよ」
谷底からの風が、彼女の赤い髪を揺らす。
「ねえ、エイク。もしかして、お父さん?」
ゼシカの問いに、エイクは一度だけ首を縦に振った。

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