PiPi's World 投稿小説

ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

の最初へ
 16
 18
の最後へ

ドラゴンクエスト[〜それから〜 18

心配そうな顔をするゲルダを見てヤンガスは満面の笑みを浮かべる。
「すまねぇ気を付けるでがす…でも心配すんなって、旅にでるのは暫く休んで呪いが解けてからでがす、足手まといにはなりたくないからよ」
「…アンタ、頼むよ?」笑顔で話すヤンガスを見てゲルダは安心した顔をし、一人家をでる。

「娘よ…何か分かれば連絡するが、期待はしないでくれ…」
サザンビーグでザフィスと別れる際言われた事を思い出す。
ゲルダの頬を夜風が掠める。
「父さん……。」
その声は闇に飲み込まれてしまった。


「ここ……どこかしら。」
少女がひとりごちた。二つにくくった紅い髪が揺れている。世界は真っ白い霧に包まれたようで、四方を見渡しても何も見えない。
「ねぇ、エイク?ヤンガス?ククールーーっ!」
声を張り上げたが、何も戻ってこなかった。少女は細い肩を自らの手で抱き締めた。
「なんで俺が最後なんだよっ!」
「きゃあっ!!?」
少女の後ろから、銀髪の青年が現れた。
「ククール…。」
「一体どうなってんだ?これは。」
彼も何がどうなったのかわからないと言った風だ。二人で、確か私たちはパルミドに居たはずだ、と言い合う。一体、何がどうしてこんな辺鄙な場所に迷い着いたというのか。
二人は歩く。歩き続ける。しかし二人の前に現れるのは真っ白な大地だけだった…そんな時、
「おいゼシカ、なんだあれ…」
ククールが指さす先には一つの扉があった。それを見たゼシカは走って扉へ向かう。
「もうこんな所にはいたくない!!この扉の先に何が待ってるかなんて後の話よ!!」
ゼシカは勢いよく扉を開け中に入った。真っ暗な空間に飛込んだ二人は視力を奪われゼシカは動揺してしまう。
「ゼシカ!!背中合わせになれ、囲まれてる」
ククールの呼び掛けで二人は背中合わせになり暗闇からの攻撃に備えた。
「敵の数が多いなあ、ここがどこか、魔物の種族はなんなのか、気になるだろ?まぁ見てろって」
ゼシカの返事を待つことなく、ククールが剣を地面へ突き刺すと、二人を中心に大きな魔法陣が現れた。
「地獄の雷よ、闇の魔物を焼き尽せ!!」
  バリバリバリ!!!
無数の光の柱が大きな音をたて、二人を包み込むように現れる。
ゼシカが背中越しに話しかける。
「え?あんた、イオ系呪文なんて唱えられた?」
ククールは素早くウィンクし、
「イイ男は日々成長すんの。」
「ま!」
ゼシカは呆れて閉口する。そして、雷に照らされた魔物たちをじっと見た。紅い瞳、黒い翼……、とがりきった爪。
「ドラゴン……?」
「だな。しかし、なぜこんな数のドラゴンがいるんだ…。」
ククールの魔法陣がうっすらと消え入るが、まだ落雷を免れた奴がいくつか居る。ゼシカは口角をキュッと上げて微笑んだ。
「あたしに任せて。」
ゼシカが杖を振りかざした。
「メラゾーマ!」
  ゴオオオオ!!
灼熱の炎が奴らを取り囲む。断末魔の叫びとともに、肉の焦げる匂いが周囲に立ち込めた。
「……もう、いない?」
「ああ。気配は無い。」
二人は同時にため息をついた。

SNSでこの小説を紹介

二次創作の他のリレー小説

こちらから小説を探す