PiPi's World 投稿小説

素顔
恋愛リレー小説 - その他

の最初へ
 0
 2
の最後へ

素顔 2

「わかった じゃあ貰っとくよ」
コイツ 案外ちゃんとしてんだな
帰りも 静かな車内だったけど なんとなく 空気が落ち着いてて 悪くない静けさ



「いいんですか?」
さっきから 常連みたいな客に ちょっと もたれかかって キラキラな笑顔 ふりまいて・・・
はい アイツです あの女 ”胡桃”です
領さん 店でのアイツが ちょっと気になったらしく ここ数日 ”見張り”で 通ってます 俺
「じゃあ いっちゃおっかなぁ」
こんな笑顔 初めて見たぞ
どこ 行くんだよ
「じゃあ 待ってね 着替えてくるから」
今日は 早番らしく もう帰るらしく
このオヤジとアフターかよ
どこが いいんだ?
こんなオヤジ


「美味しい!」
後を着いてきたら 屋台のラーメン
食いながら さっきから この調子
「悪いな もっと高いモン 奢ろうと思ったんだけど」
「いいよ すっごい美味しいよ?私 高級なの食べても どうせ わかんないし」
時々見える 笑ってる横顔
こんな顔するんだな・・・・・
鮨屋の時 笑ってなかったな

「それより なんで今日だったの?」
「ん?ちょっと今月ピンチになっちゃって」
ラーメン 美味そうだな
「この前 お鮨屋さんに行ってね。すっごい高くて。そしたらピンチになっちゃって。ゴメンね 助かった」
「いいよいいよ こうやって一緒にって楽しいからさ。美味かった?寿司」
「わかんない 高級過ぎて緊張して 味わかんないもん」
コイツって なんかイイヤツだな
この笑顔 領さんに 見てもらいたいな



あれから ちょっとした事件があった
店の客に 絡まれて あの女が ホテルに無理やり 連れ込まれそうなり・・・
まぁ 見張ってた俺が 助け出したんだけど
領さんに報告した まぁすげえ怒りで
その連れ込んだ男は ボコボコ
久しぶりに見たな 怒る領さん
そんなことのあった数日後
事務所に 珍客

「すいません・・・・・」
ドアを入って びくつく女
中には 強面の男の数人
ジロッと見ると 近寄って
「なんだ?」
「あの、早瀬 領さんは?」
「社長?あんた誰?」
ますます険しい目つきで睨まれ 後ずさりする女

「約束でもしてんの?」
「もしかして 保険の勧誘?」
「あぁ セールス系?」
笑いながら 舐めまわすように見る
「なんだったら 俺 入ってやろうか?」
「俺も いいよ?」
周りを 取り囲み始める
「あ、あの・・・・」

そこに ドアが開く

「お帰りなさい」

男達が 一斉に ドアから入ってきた男に 頭を下げる

「トシさん」

「あれ?どうしたんですか?」

男達が 2人の顔を交互に見ながら
「組、あっ 社長ですか?今 出掛けてて・・・奥で待っててください すぐ戻られると思うんで」
「いえ、あの これ」
紙袋を 差し出す
「これを 渡していただければ」
「時間 ありますか?あるんでしたら 直接渡されたほうが。俺も叱られずに済みますから。どうぞ」
半ば無理やり 奥の部屋に通す
「お前ら 失礼なことしなかっただろうな?領さんに怒られるぞ?」
ビクッとさせて そそくさと机に戻っていく男たち
奥の部屋では 落ち着きなく座る 胡桃

”コンコンッ”


さっきの 強面の男が お茶を運んでくる
「すいません」
胡桃が 頭を下げると 恐縮しながら頭を下げ 下げながらも胡桃を見る
「ほら あんま見るな 怒られるぞ」
再び 頭を下げて 部屋から出て行く
「今日は・・・約束でも?」
「いえ なにも」
「そうですよね 来ることがわかってたら 出掛けてないですよね」
「いきなり来ちゃって・・・すいません。ほんとに 渡していただけたらいいんですけど」
「たぶん それを 渡すと 機嫌悪くさせてしまうんで。みんなのためにも 直接渡していただいて いいですか?」
「えっ・・・・」
「胡桃さんには なにもなさらないでしょ?今までも」
「は、はい・・・」

”お帰りなさい”

部屋の外から 男たちの声
さっきより 緊張感のある声に聞こえる
「帰ってきましたよ」
ドアが 開く
「お帰りなさい」
トシの声
「なにか 変わったこと・・・」
部屋にいる胡桃に驚き 固まる
「お客様です」
ニコニコするトシ
「こんにちは・・・すいません いきなり来てしまって」
立ち上がって 早口に言いながら
「いや・・・ビックリした なにか?」

「あの・・・・今日 誕生日・・・ですよね?」
そう この前 俺 独り言みたいに言ったんだ
誕生日だって
聞いて覚えててくれたんだな
まさか事務所まで 来てくれるとは思わなかったけど

「あの これ」
さっきから 持っていた袋
中には きれいにラッピングされたものが
「誕生日の?」
「はい この前 助けていただいたし」
「あぁ あれは こいつが」
トシを指すと
「トシさんにも ちゃんと持ってきました」
「えっ・・・俺にも?」
領さんの顔を 思わず見てしまった
「頂いとけ お前が助けたんだから」
「あ、あの・・・すいません」
ハンパない汗が 出てきた
「ありがとうございました」
うわっ!
この笑顔
素だよ素
この笑顔なんだよ 
「あの・・・ほんとに すいませんでした いきなり来ちゃって」


,
の最初へ
 0
 2
の最後へ

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す