日常茶飯事ではない日常茶飯事 3
『異常な日常への帰還』
ジリリリリリリ――
長年使っている目覚まし時計の音が、輝の部屋にこだまする。
輝は手探りで目覚まし時計を止め、起き上がる。
ぼー、とする低血圧な身体で微かに働かせ、呟く。
「……やっぱ、夢か…」
強烈な夢だったと思う。
輝は、女を求めているのかと自問しつつ、着替えるためにベッドを降りる。
ばさっ――
弾みで何かが落ちた。
拾ってみるとそれは無数の紙の束だった。
こんなものあっただろうかと表紙を見ると、一気に眠気が覚めた。
「……今回のターゲットおよび恋歌ちゃんプロフィール…」
彼は呟き、苦悩する。
「…夢ではないのか?…いや、うちのバカ姉のイタズラの場合も?だが、夢と同じ……やはり夢は本当に…」
いくら考えても答えはでない。1番に有力なのは夢は本当なのだが、現実的には姉が仕組んだ罠が有力だろうが――。
「…………」
輝は、資料を投げ捨てた。
姉の悪戯だろうが、ファンタスティックな出来事だろうが無視が1番だ。
服を着替え、部屋を出る。階段を降り、台所へ。
そこには、朝凪 由宇。姉がいた。
「おはよう。私より遅く起きるなんて、とんだ不良ね。ありえないわ」
文句を受け流し
「変な夢見たんだよ、なんかしらんが。大体、起きるの早すぎだし」
「はぁ、これだから大学生は。働いて生活費稼いでる人にその言葉もあり得ないわ…」
かまをかけたが、由宇は反応せず文句しかこぼさない。