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遠距離恋愛
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遠距離恋愛 2


その頃。
「…あー初めてのメールにしてはキザだったか…」
鳴らない手元の携帯をちらっと見てつぶやく。
智は初めて出会い系サイトを覗き、地域も同じという綾の登録文を見て、初めて友人以外の人にメールを出したのだった。
「きっと俺以外の人に決めたんだろうな。何かフラれた気持ちだな〜。」
智が諦めてソファから立つ。初めてのことをして緊張したのか、喉が渇いていることに気付いたのだ。
飲み物を、と台所に行き、冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出す。
グラスに半分ほど注ぎ、一気に飲み干すと、コーヒーのほろ苦い味が全身に広がっていく感じがした。

コーヒーと気持ちの苦み、両方を味わっていた頃、となりの部屋で微かにバイブの音がしたのが聞こえた。会社でも使用しているため、そのままバイブになっていたようだ。智は慌ててグラスを置き、台所を後にした。

恐る恐る、でも期待は大きく、未読メールを確認する。そこには…。

「今から飲みに来いよ!どうせ家にいるんだろ?じゃあな〜。あ、ちなみにオレケータイ変えたから!」

遊び仲間でもある圭介からのメールだった。

「ったく、圭介かよ!?オレが待ってたのはオマエのメールじゃないよ…」
智は今のメールで現実に引き戻された気がしてきた。「しょうがない、誘われたし、飲みに行ってくるか」

友達の圭介が入り浸っている飲み屋は、智のアパートから徒歩で数分。ビルの地下にある。今日のようなことは日常茶飯事で、智もすっかり常連になった。

すぐに支度を済ませ、ビルのある通りに出ていく。
(今日も泊めろとか言いそうだな。確信犯なやつ…)

「智〜!こっちこっち!」
やたら陽気な圭介が、なぜか店を通り越した場所から、大声で叫んでいる。

「いい加減一方的にメールよこすなよ〜」
そう言いつつ、圭介に近づいていく。どうやらタバコを買いに出てきたらしい。

圭介は人の話も聞かず、道を挟んで向かいにある店を指差す。
「そういやさ、今気づいたけど、アレってカフェ?あんな店あった?」
見ると、智がよく利用している店だった。時間的に店を閉じている。

「あ〜、オレあそこ…」
よく行くけど、と言いかけた時、ジーンズの後ろポケットに入れてあった携帯が振動した。

『メール着信あり』
開くとそれは待ちに待った綾からのメールだった。

「圭介!今日はオレおごってやるよ!いいことあったからさ。」
「マジっすか!?」
圭介が智の家に転がり込んだのは言うまでもない…

「友達寝ちゃったよ〜!綾さん、まだ起きてる?」

智は圭介が寝たのを確認してから、綾にメールをしてみた。
圭介といる間、智は綾とメール交換していなかったのだ。
綾が『お友達は大事にしなくちゃ!また明日メールしようね。』とメールしてきたからであった。
だが、智には綾に今日どうしても伝えたい言葉があるのだ…。

そろそろ寝ようかと、髪を乾かしている綾の携帯が鳴った。
「えっ、こんな遅くに…誰…?」
智からのメールであった。

「起きてたけど、そろそろ寝ますよ〜」
「分かりました。では『おやすみなさい』また明日!」
「おやすみなさい…またね!」

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