Bus Stop 1
今から始まるのは、あるバス停で始まった恋のお話?
走っていく。
彼女を乗せたバスは、青信号の交差点を突っ切りスピードを上げ、見えなくなった。
「あー…」
つまり、僕は置いてきぼりにされたわけだ。
途方に暮れると言うよりは何も考えていなかった。
「しゃ〜ないな…」
そう呟くと1時間に1本しか来ないバス停に背を向け、ダラダラとくたびれたバッシュのつま先をボーッと眺めながら歩きだした。
「あれ、まだいたのかー、仕事終わったんなら早く帰れよ〜」
そこはさっきまでバイトで働いてたガソリンスタンド
「う〜す、お先に失礼しま〜す」
目も合わせずに挨拶するとジーパンのポケットから鍵を取り出した。
その鍵の先には高校野球最後の大会の時にマネージャーからもらった手作りのユニホームのお守り…
「また、空振りか…」
そう言いながら鍵を原付きの鍵穴に差し込んだ。
キュルキュルキュル
少し淋しげなセルの音を出したあと原付きは走り出した…