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恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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「それにさ、朋子ちゃんと明のどっちが大事かって言われたら、明の方が大事だったんだよね。」
だからしょうがないんだ、と言うセリフに思わず顔が赤くなった。

「お、前は!そんなことサラッと言うと誤解されるぞ」

「誤解?あぁ、うん、そうだね。誤解、…誤解か。」

まぁ、明となら誤解されてもいいかな、なんて言って笑うから、俺はどうしたらいいか分からなくなった。

「明」
急に真剣な表情になるから、うろたえてしまう。


「お、おう」

「俺は明が思っている以上に、明のことが大切だからね?」

「…その言葉だけで、俺は十分だ。」

「俺を好きになってくれて、ありがとう。」

そう言うと、お酒を手にして乾杯のしぐさをする直樹。
俺も慌てて酒を持つと、乾杯をした。

「卒業おめでとう、明」
「…卒業おめでとう、直樹」

そうして夜が明けるまで、2人で飲み明かした。

1日かけて、4年間、世話になった部屋の掃除をした。
不動産会社の代理人に部屋の鍵の引き渡しをする。
あとは俺が北海道に行くだけ。
直樹と夜通し語り合えた俺に、最後に思い残すことも、無い。

「あるでしょ!挨拶ぐらいして来なさいよ!」

空港で出発を待っていた俺の前に仁王立ちで現れたのは、何故かアリサだった。


「いや、お前には飲み会で挨拶しただろ。」

「あんなのじゃ全然感謝の気持ちが伝わらないわよ!」

「…わざわざ見送りに来てくれたのか?」

「バッカじゃない!そんな暇そうに見えるわけ?私も飛行機乗るのよ。」

「そうなのか?」

「そうよ!」

そう言うと、アリサは顔の横でヒラヒラとチケットを振ってみせた。

「あ、ちょっと返しなさいよ!」

チケットを奪って行き先を確認すると、何故か俺と同じ便だった。
さすがに席は離れているが。

俺の疑問が顔に出ていたのだろう。
アリサはチケットを奪い返すと

「私も行くから、北海道。たまたま入社した会社の配属先が、偶然同じになったようね。」
と、得意気に告げてきた。

理解するまで呆けた顔をしていた俺だったが、アリサと一緒の街で働けると分かると
笑みがこぼれた。

「…腐れ縁、続いちまったな」
ボソリと呟く。

「まー、また困ったことがあれば、飲みに行ってあげるわよ。北海道って美味しいモノが多いから食べ歩きも楽しそうだよね〜」

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