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恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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nao 82

 オヤジさんの仕事手伝うためにここにいるんすから、そんなに気使わないで下さい。…と、以前言ったんだけど。どうも人を使うことが馴れないらしく、オヤジさんはいつも腰が低かった。
 本当、気ぃ使いなんだから。とオヤジさんの後ろ姿を見送りながら心の中で苦笑する。…アイツも年食ったらオヤジさんみたいになりそうだよな。

 直樹。お前はどうしたら俺の中からいなくなってくれるんだ?皿についたこの汚れとおんなじように、俺の歪んだこの気持ちもスポンジに洗剤つけて泡立てたら真っ白になってくれたらいいのにな。

 

 真っ白に洗いあがった食器たちを乾燥機にかけると、部屋の支度をするために二階へ続く階段を上る。このペンションは一階に食堂や風呂があり、客室は全て二階にある。最近ひどい吹雪続きだったため、7部屋ある個室のうち今埋まっているのは5部屋だった。『STAFF ONLY』と書かれたトイレの脇にある扉を開くと薄暗い廊下を進む。
 
 日暮れが近づいているということもあるが、北向きのこの部屋はもともと採光が悪い。もちろん、だからこそここが物置兼従業員の寝床に選ばれているんだろうけど。整然と積まれているシーツの山の一番上にあるものを一つ手に取る。それとその脇にある枕カバーを持って部屋を後にする。
 今空いている2部屋はどちらもツインの部屋になるため、新しいお客さんはどちらの部屋でもいいということなんだろう。
 後ろ手に扉を閉めてから、俺はどちらに進もうか少し迷う。
 朝日か夕日か。今度来るお客さんはどっちのほうがいいんだろう。
―そういえば、男か女かかも聞かなかったな。
 しばらく悩んでから右側に身体を向けると、客室へと向かう。
 下のフロアと同じ色調で整えられた客室は、若い女性だけでなく、家族連れなんかにも好評だった。形式だけのノックをしてから室内に入り、まず備え付けのエアコンのスイッチを入れた。室温を25度に設定してから持ってきたものをベッドの脇にある机の上に置く。

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