月の光 2
彼の表情は優しくて、幸せそうだった。
「ごめんね。」
優しい彼の口調が痛かった。
「あ…これ…ありがとうございました。」
そう言って私は1000円を彼に渡して、逃げるように場を離れた。
はぁ…
ため息をつきながら歩いていると…
「一ノ瀬さ…舞桜さん!!」
突然、後ろから彼の声がした。
「え…な…なん…」
私が焦っていると、彼は照れながら優しく言った。
「もう暗いから…送るよ。」
こんな風に女の子扱いされたことなんてなかったから、
恋をするには十分すぎた。
思えば、最初から一目ぼれだったのかもしれないけど。
私はもう、引き返せないくらい
彼に恋をした
結局その日は新倉さんに送ってもらって別れた。
私は、あのコンビにに行くのが日課になった。
そこで、新倉さんを見つけたときは幸せな気持ちになった。
でも…
奥さんと一緒にいることもあった。
そんなときは涙が零れるのを必死で抑えて
家で一人、声を殺して涙をながした。
*********
彼は今日は一人でコンビニにいた。
「ぁ…あの!」
「…?…あ、舞桜さん。」
「新倉さん…奥さんのこと…好きですか?」
「…?…はい。愛してます。」
あぁ、絶対に敵わない。
叶わない
「じゃぁ…聞いてください。」
「はい…?」
「わたし…」
「私は新倉さんのことが好きです。」