月の光 1
私は初めて本当の恋に出会った。
今までとは違う、本当に真剣に人を想った。
彼は別の人を見ていたけれど。
高校2年生の冬。
学校近くのコンビニで彼を見つけた。
**************
「お会計、800円になります」
あっちゃー…100円足りない…
でも、期間限定のメロンパン…
食べたいなぁ…
私は期間限定とか、数量限定に弱い。
「どうぞ」
悩んでいると突然後ろから声がした。
男性が1000円を差し出している。
「えっ…でも…」
「いいよ」
「すみません…」
私は、見ず知らずの男性に1000円を借りてしまった。
「あ…っ…あのっ…ありがとうございました…連絡先、教えて下さい!!」
私は、彼が会計を終えて店から出てきたのを確認して声をかけた。
「いいのに。」
「でも…っ」
「じゃあ…何か書くもの貸してくれる?」
「はいっ!!」
新倉陽介
080−xxxx−xxxx
綺麗な字でそう書かれていた。
「にいくら…ようすけさん…?」
「そう。君は?」
「あ…一ノ瀬舞桜(いちのせ まお)です…」
「一ノ瀬さん。じゃぁ…連絡お待ちしてます。」
彼は…陽介さんはそう言うと、優しく微笑んだ。
*******2日後********
彼に電話をかけた。
プルルッ
プルルッ
プル
「はい。」
「あの…新倉さんですか?
一ノ瀬です。今日会えますか?」
「あぁ、ほんとに連絡くれたんだ。
いいよ。7時にこの前のコンビニで待ってる。」
「はい♪」
早く7時にならないかな…
そんな風に浮かれていた。
残酷な真実を知るとも知らずに。
*****7時*コンビ二*******
「新倉さん!」
「あぁ、ごめん。待たせてしまったかな。」
「いいえ」
実際、今は午後7時前。
そのとき…
♪〜♪〜
彼の携帯がなった。
「っと…失礼、妻からだ。」
初恋は叶わないって
誰かが言ってた