初体験はお姉ちゃんそして…… 74
沙耶が部屋から出て30分も経っただろうか。
「お兄ちゃ〜ん。舞お姉ちゃ〜ん。来て〜。」
台所から沙耶が呼んだ。二人で台所に行くと
「ジャーン!!!」
茜が言った。茜と沙耶が得意そうに一目で手づくりとわかるケーキを目の前に差し出した。
「舞お姉ちゃん誕生日おめでと〜。」
「え?私の誕生日は明日よ。」
「でも明日は私がお兄ちゃんと出かけちゃうからぁ。」
茜は少しすまなそうに言った。
「もしかしてこないだの買い物って。」
「そ〜だよ〜。茜お姉ちゃんがこのために生クリームとベーキングパウダーが必要って言うから〜」
その後を茜が引き取った。
「あの朝に買ってきてって言ったの。」
「あり…がと…」
お姉ちゃんは嗚咽を漏らしている。
「舞お姉ちゃん泣かないでぇ。」
「そ〜だよ〜。楽しくパーティーしよ〜。」
「そうね。」
そして夕食は母親の作った豪勢な料理が並んだ。
「私からプレゼント。」
茜はおねえちゃんに包みを渡した。
「あけてみて。」
「あら?」
きれいなネックレスだ。
「沙耶は〜ペンダント〜。」
「二人ともありがとう。」
僕は一度席を離れ部屋に戻った。既にプレゼントは用意してあった。僕は机の引き出しの奥から紙袋を取り出し、夕食の席に戻った。
「はい。僕からも誕生日祝い。」
「何かしら?」
「お兄ちゃんの一番小さい〜」
「こういう時に節約はないよぉ。」
「ケチってないよ。」
「図書カード?」
「今の財力では五千円が限界だけどね。小遣い日直前だから。」
「わぁお兄ちゃんそう来たかぁ。」
「舞お姉ちゃんは〜それでうれしいの〜?」
「これから参考書も必要になるわ。」
「そう言われると僕もほっとするよ。」
一日早い誕生日会であった。
「茜、沙耶ありがと。」
「どういたしましてぇ。」
「気にしなくて良〜んだよ〜。」
「あなたたちの誕生日には私も何かするわ。」
「楽しみにしてるねぇ。」
「沙耶も〜。」
「お姉ちゃん……明日は悪いけど……」
「良いわよ。二人で楽しんでらっしゃい。」
「……うん。」
「じゃあお休み。」
「たぶん今夜は寝られない。」
「ん?何かしら?」
「……なんでもない。お姉ちゃんお休み。」
「ちょっとまちなさい。どういうこと?」
「寝られないというか・・・。」
「気になるじゃない。話しなさいよ。」
「寝かせてもらえない・・・」
「どういうこと?」
「茜が今夜多分はしゃぐから・・・・・・」
「そうかしら?」
「僕今夜は茜の部屋で寝る羽目になったんだ。」
「それで寝られないってわけ?」
「たぶん・・・」
「妹の我侭に付き合ってばかりじゃダメよ。」
「それはそうなんだけど・・・・・・。」
「男でしょ!」
「はい・・・。」
「二人とも何喧嘩してんのぉ?」
「茜、今日は一人で寝なさい。」