「クルトンをどうぞ。」
お姉ちゃんはあまりクルトンを取らないが、僕はクルトンが割と好きなので、ちょっと多めにいただいた。
「ちょっと取り過ぎじゃないの？」
「そうかな？」
「ま、アンタがそれ好きなのは分かるけどね。」
そう言いながらお姉ちゃんはスプーンを取った。
「フランス式で食べる？」
お姉ちゃんが囁いた。
「ボーイさんがそう言ったんだしフランス式で良いと思う。」
と僕は返した。

スープスプーンを置いた。
「サーモンのソテーでございます。」
魚料理がきた。ちゃんと骨が取ってある。
「美味しいわ。」
「予想以上だね。」
そう言いながら食べ進み７〜８割食べた時、
「グラニテは何も言われなかったわね。」
「もう決まってるんじゃない？」
「だと良いけど。」
「省略されることもあるよね。」
「私あれ好きなのにな……」
「お姉ちゃんそんな悲しそうに言わないで。」
しかしちゃんとグラニテは出た。
「あ、ちょっとアルコールが入ってる。」
「リキュール？」
「リモンチェッロかな？」
「レモン？」
「そうそう。よく知ってるわね。」
「でも流石にお姉ちゃんには敵わないよ。」
「そりゃ私はこれ大好きだからね。」
「確かに美味しいけどそんなにたくさん食べることもないから詳しくはならないな。」
「そう？喫茶店とかでもたまにあるわよ。」
「それは知らなかったな〜。」
「そんな所、女の子同士でしか行かないけどね。」
「ふ〜ん。」
肉料理が出てきた。
「鴨のローストのフランボワーズソース。近江牛のステーキ、ベリーレアでございます。」
「うわっすごい。」
「そうね。ちょっと驚いたわ。」
「お姉ちゃんのもすごいね。」
お姉ちゃんは早速ナイフでステーキを切った。
「あ、とっても柔らかい。」
僕も鴨のローストを早速口に運んだ。
「美味しい。」
するとシェフらしき人が出てきた。
「焼き加減、その他如何ですか？」
「ちょうど良いくらいよ。」
「最高です。」
本心でそう言った。
パンも二つほどいただいて、肉料理のナイフとフォークを揃えた。
「アンタにしては珍しく完食ね。」
「こんなに美味しいもの初めて食べたよ。」
「中学校２年生の誕生日とどっちが良かった？」
「あの時は緊張のほうが先にたったよ。」
「場慣れしてなかった？」
「お姉ちゃんとのデートに慣れてなかった。」
「バカッ。」
お姉ちゃんは平手で僕の頭をたたいた。