僕の姉さん 1
僕の姉さんは怒りっぽい。
何かというと僕を怒ってばかりいる。
そりゃ、美人でスタイル抜群で頭もいい姉さんからすると、
僕がちゃんとしてない人間に見えるのは仕方ないかも知れないけどさ。
昨日も怒られたし、ついさっきも怒られた。
「、、、ちゃんとしてよ!早く」
姉さんの顔は真っ赤だ。
「もう我慢できない」
さっきも怒られたばかりで、うなだれている僕。
当分元気になれそうにない。
なのに姉さんはそんな僕におかまいなく、激しく口で責め立てて来る。
そりゃ頭ではわかっているけど、すぐに実行に移せるわけないじゃないか。
そう言い返すと、「あなたのやる気の問題でしょ!」と言い返してくる。
僕はため息をついた。
母さんになぐさめられると、すぐに元気が出てもっとがんばろうって気になれるのにな。
誰もいない夕方の家、お茶を飲もうと冷蔵庫を開けた僕は、急に背中が重たくなった。
「た、だ、い、ま〜」ママが後ろから抱きついて来たんだ。
「おかえりなさい。びっくりした…お茶を落としそうになったよ。」
「ゴメ〜ン。でも、可愛い息子の後ろ姿を見たら、抱きつかずにはいられないのよ〜」
ママは僕を「溺愛」している。
あまり出来の良くない僕を、いつも何をしてもほめてくれる。
きれいでやさしいママ…だから僕は、ママに喜んでもらいたくて、必死で勉強してるのだ。(成績はそれほど良くならないけど)
「ママ…そんなにしめつけたら痛いよ。」
「だめ…ママを『好き』って言ってくれるまで離さない。」
「もう…『好きだよ』。」
「そんなセリフみたいな言い方じゃイヤ。もっと恋愛感情こめて言って。」
「好きだよ。ママ、大好きだよ!」
その時「ただいま〜」姉さんが帰ってきた。
「おかえりなさい。」ママが僕に抱きついたままで言った。姉さんはママに笑顔を見せて「仲いいのね。」と言って部屋に向かっていった。
でも、僕には一瞬だけど見えていた。
僕をにらみつける姉さんの鬼のような形相が。
「姉さん、ごめんよ」
「何よ、あんなBBAとイチャイチャして…いつまでもマザコンじゃ、三十過ぎたって童貞のままでも知らないから」
姉さんの部屋に行くとなぜか散らかっていて怒られた。
「あなた、なんで怒られてるか分かってないででしょ。大体、不公平でしょ」
「何が?」
「私にも…ハグしなさいって、言ってるのよ!」
「いいよ」
「待って、服がシワになるといけないから」
「どうして脱ぐの?」
「バカね、見せる下着だからよ」
姉さんが突然服を脱ぎだすと、赤いランジェリー姿になる。
「見て…いいの?」
「当たり前じゃない」
そう言われても派手な色だし胸の谷間やウエストのくびれやショーツのレースの部分が透けていたり目のやり場に困ってしまう。
「どっちから、抱こうか?」
「正面からに、決まってるでしょ」
「うん」
「…言われなきゃ出来ないなんて、男としてまだまだね」
「これで、よかった?」
ちっとも機嫌を直してくれなくて寄り過ぎると耳を噛まれそうな気がして、思わず腰が引けてしまう。
ママの香水の匂いやお餅のようなおっぱいの感触とは違うはずだけど、怖くて感じ取る暇もない。
「ダメ、失格」
「どうしてさ」
「もっと密着しなきゃ、男同士じゃないんだから。もっと露骨に股間を擦りつけてきたり、胸板を押し付けなきゃ」
「そんなの、いやらしいよ」
「思春期なんだから、姉とか妹とかいちいち考えちゃダメ。常に誰かを犯そうかって思うくらいギラギラしてないと。何かと理由をつけて触り、それが出来なければ覗いたり下着をこっそり失敬して巻きつけてシコシコするぐらいじゃないと、将来不妊で夫婦で病院に行って医者に小馬鹿にされるのよ。そうなってもいいの?」
「言ってること目茶苦茶だよ。それに、弟が変態でもいいの?」
「いいわ、すべて受け入れてあげる。そう、私は姉だから!」
「そんなに自信満々で言うんだったら、経験あるか聞いてもいい?」
「もちろん、あるわ。恋愛じゃないけど…ゲーム感覚で三本ほど。露茎と仮性とカントンっていうの?最後まで完全にはムケなかったのも見たことある」
「遊び半分って」
「一対一だと乱暴にされたら嫌だし、女の子のほうが多かったら、いろいろできるでしょ?もちろん入れる時はゴム付きよ」
「せ、赤裸々すぎるよ」
姉さんはベッドに腰掛けてなぜか脚を組んで前のめりになってドヤ顔で語った。
「今度はあなたの番よ!さあ、姉の期待に応えて」
「別に経験なんてないよ。未成年だしさ」
「でも、BBAに触らせたことあるでしょ?ムケないとダメとか都合のいいこと言われて」
「それは、ほら…知らなかったし」
「そんな子は弟は認めません」
「いいよ、ママがいるし」
「このマザコンどもめ!」