人妻のひ・み・つ 16
―麻耶はお母さんに取られてしまった。
さて、どうしよう。
…!
ひらめいた私は外出の準備を始める。
愛「どこか行くの?」
舞「ちょっと泳ぎに行ってくる」
愛「あぁ、いってらっしゃい」
麻「いってらったーい」
麻耶も手を振ってくれる。
まだ舌ったらず。でも可愛い。
泳ぎに行くといっても、海に行くわけじゃない。
家から歩いて10分くらいのところに、そこそこ規模の大きいスポーツクラブがある。
そこのプールで泳いでくる、ということ。
私、高校まで水泳部に所属していたんだ。
中学の頃までは、地元では敵なしの結構有名な選手だった。
しかし、高校で見事に壁にぶち当たる。
どうしても勝てない、強大な力を持った選手が、一人いた。
彼女に勝つことを目標にしていたが、高校3年間でかなうことはなかった。
そこで、水泳を続けることをあきらめた。
高校時代、目の上のたんこぶのような存在だったその彼女は、今年の夏、オリンピックでメダルを獲得した。
…それだけの人だったのだ。
最初からかなうはずなかった。
だから、良かったのかもしれない。
…湿っぽい話だったらごめん。
今となってはいい思い出だ。
―ということもあり、泳ぐのは大好きなのだ。
お暇さえあれば、大体月数回のペースで来ている。
更衣室で水着に着替える。
グラビア撮影でのビキニもいいけど、競泳水着もまたよい。
身体のラインはより鮮明になるけど、気にするものじゃない。
…実は小学生の頃から胸は大きかったからね。
室内プール。
舞「あれ、今日人少ないなぁ」
端っこのスイムウォーキングレーンには、いつも結構な人数のおばあちゃんがいるんだけど。
今日は雨だったせいもあるのだろうか。
でも、それが逆に好都合かも。
真ん中のレーンを半ば貸切状態で使わせてもらう。
まだ身体は鈍っていない。
十分泳げるよ。
休憩の時間が来るまで泳ぎっぱなし。
昔はもっとやってたんだから軽い軽い。
休憩が来るとプールから出る。
監視員の男の人が私を直視している。
…目立ちますかね、私。
いつもはお年寄りが多い施設だから、より興奮するのかな?