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地球卵
官能リレー小説 - SF

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地球卵 77

「え・・・?お姉様、こちらで朝食を食べて行かれないんですか?」

歓迎する準備もできてないのに、カレンがさびしそうにそんなことを口にした。
遥のことはまるっきり無視しているあたり、どれだけ彼女がヴァネッサのことが好きなのかがうかがえる。
ヴァネッサはカレンの問いに苦笑を浮かべると、こう答えた。

「こんな朝早くから押しかけてきたのは私だ。
 これ以上おまえらの邪魔をしないうちに帰らせてもらう。
 遥も、新しい仲間と環境になれる時間がいるだろうからな」

じゃあなと言い残し、さっさとその場を後にするヴァネッサ。
どうも今朝はHする気分ではないらしい。
無理に引き止めれば嫌われるかもしれないと思ったカレンは、心から無念そうなご様子で去っていくヴァネッサを見送った。
そんな中、進一たちは残念がる主人を慰めながら新しい仲間となった遥の歓迎会を行うことにした。
歓迎会と言っても急なことなので形だけだったが。

「カレン様のファームにようこそ、遥さん!
 ご主人様のためにこれからがんばりましょうねっ!」
「・・・・・・(ニコッ)」

乳母にして姉である悠美香の言葉に、遥はにっこりと妙に色っぽい笑顔で微笑んだ。
その笑顔からは『よろしくお願いします』と言っているのはわかるのだが・・・。
何もしなくても感じているせいか、しぐさの1つ1つがやけに色っぽく、女の人でもドキリと性欲を刺激してくるのだ。

「あー・・・ちょ、ちょっと進一!アンタも挨拶しなさいよ!?」
「え?あ、う、うんっ」

遥の色香たっぷりの微笑みにやられた悠美香は、何か居心地悪そうに進一に会話のバトンを渡す。
進一も遥の笑顔に少々やられていたものの、すぐに立ち直ってファームのメンバーの紹介を始めた。
ファームの仲間を紹介しながら、進一は懐かしくも忌まわしい言葉に複雑な心境でいた。
かつて、遥と同じようにこの街へと落とされた進一にとって、かつて愛していた主と引き離されてからの日々は、悔いと後悔と怒りと悲しみの日々だった。今でこそカレンという最上の主に仕えているが、落とされてからの日々は、自分の惨めさを噛み締めながら生き恥を晒さねばならない、文字通り地獄だった。

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