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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 33

再び遭遇戦となっても改造作業機や半壊の旧式機相手なら、対人グレネードでも直撃させればそれなりのダメージが期待出来る。
あくまで保険ぐらいの心積もりで、ダイダイオは幾らかの慎重さを取り戻していた。
怖いもの知らずの雌ゴリラ、そして復讐に燃える餓狼から逃れるべく…。

「背に腹は変えられない…よなあ…そうだろアハト?」
『ノーと言えない外国人労働者、アイン・シュタインがここにいた。』
「そのロボ喋れんのか、てえかお前ロボ子ちゃんしか友達いないのか?」

異世界からの救世主、仮の姿は不法就労外人アイン・シュタイン、ロボ娘と雌ゴリラに挟まれ酷い扱いであった。

「アハトお前その…。」
『時として主人を守るべく、貶めて扱うのもまた従者の忠誠心です。』
「アッハッハッ?勧進帳だなアイン・シュタイン3等陸士!」

自分は口喧嘩で女には勝てない人種だと、アインは自覚せざるを得なかった。
実際の所アインは渚の脅迫紛いの申し出に従う事を…強いられてるんだ!
本来なら彼は渚に見つかった時点、ロボット犯罪を通り越し『戦犯者』である。
防衛出動の特例二○五号とやらでアインの戦闘参加が容認されているのだ。

「それでだ…隊長として質問する、お前は地球人か?」
「只の外人です。」

ダイダイオと渚の通信を傍受していたアインは、質問の意味を幾らか理解していた。
ダイダイオは地球人ではない云々の回答から頭の可哀相な奴と誤解されたようだが。

「はぐらかしやがってこの野郎…ベッドの上で下の口に聞いてやろうか?」
「言っても信じないでしょう。」

渚はモニターを通して直感的に、アインは信用できるタイプと理解していた。
だからこそ、敵意を持ってはいないし連携もうまくいっている。
その連携がわずかに崩れた。
遠方に新手が現れたのだ。数は10、識別コードはどれもゼイル陣営の機体ではなかった。
その10機がこちらに向かってきていた。
アハトのライブラリがどうにかアエラティ王国軍所属という言葉だけを表示させた。
「なぜ他国の機体が?…密入国でもしてきたのか」
「この国をわざわざ支援しに来た…とは思えないなこりゃ。展開が早すぎるだろ」
アエラティ王国はあまりに遠すぎる。
地形や領空権やらを無視して真っ直ぐここに来たとしてもまず間に合わない。渚のいうとおりなにかがおかしい。
そんな時、3機の反応が消失した。それと入れ替わるように新たな3機の反応が現れる。
新たに現れた機体の所属はレガート一族、アエラティ王国の全ての実権を握る一貴族だ。
そいつらが現れた途端に機体の数が減る、それは戦闘を意味していた。
こちらに進軍してくる陣形が見る見るうちに崩壊を起こす。
「背後から奇襲されたのか…」
またもアエラティの機体の反応が消えた。まだこちらに通信は無い。傍受も上手くいかない、情報が少なすぎるからだ。
「もうどっちを味方して良いか分かんねえな。戦争なら自分の国でしろよ…」
渚がポツリと漏らす。
一方ダイダイオも困惑していた。
自衛隊の機体に追いかけられていたら遠方で突然無関係な戦闘が起こった。頭がおかしいとしか言いようがない。
これにより、ダイダイオの逃走ルートが大きく狂う。双方の軍の意図がどうであれ撃ち合いのど真ん中に飛び込むわけにはいかないからだ。
「なんなのだ、こいつらは」
更なる遠回りを強いられ思わず愚痴る、ダイダイオは強いられているロボと化した。

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