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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 29

熱源やレーダー派の反射を発生させる三角錐が近くに三つ。

一つはビルの合間にバルーンで十m前後の高さ、つまり量産型の装機と大体同じ高さに浮いている。
後の二つは姿勢を低くした膝撃ち体勢で屈んだ機体の反応を出しながら、瓦礫の陰に配置されている様だ。

そしてデコイ群と別、ビル建設現場らしき安全ネットのかかった高い足場の向こうに本命を感知、急拵えの武装作業機の様だ。

反応からして、異世界サウスランドや米軍サウスパークと同じローズ社製、高トルク作業用エンジン。
馬力と引き替えに静粛性はイマイチな為、接近すればソナー類で簡単に探知出来る。

「まさか地球でゲリラ狩りとはな…。」

カターリナのCPUによると敵機の武装は建材を加工した鉄パイプ散弾砲の類。
いかにも民兵やゲリラの手合といった機体であった。

射程内に入った所で散弾の目眩ましをかけて殴りかかる、大方そんな手口とダイダイオは踏んでいた。

「隠れん坊は終わりだよ。」

ダイダイオがカターリナの頭部バルカンで牽制射撃をかけた。
ロクに照準器も使わずカメラの中央にビル現場を据え、残弾処理でもする様にいささか雑な射撃であった。

カターリナのFCS性能なら民間機ごとき、バリケード越しコックピットやエンジンを射抜く事も可能。
しかしそれを許さないのは彼の歪んだ笑顔と性癖が示していた。

シートやネット類が捲れ上がり足場の鋼管や木枠、コンクリート片が弾け飛ぶ。

そして作業機が、爆発四散した。

「弾薬…いや燃料の誘爆か?」

二十一世紀総合建設(株)とロゴの入った作業アームが恨めしげにカターリナの足下へ転がって来る。

その呆気なさにダイダイオは、遣り場のない理不尽な狂気を撒き散らす。

「この程度…だとぉお?」

彼はその残骸を憎々しげに踏みにじり、やがて憮然としたため息をついた。

「仕方あるまい帰還するか、これ以上の遅延は叱責の対象…。」

ダイダイオが回収地点までオートパイロットを入力した時、機体右手のハンドガンが何かに跳ね飛ばされた。

「まだ新手か?さっきの雌ゴリラか?」

ダイダイオが本能的にオートパイロットを切り、回避動作に入った機体の背中をかすめる衝撃。
装甲に弾かれ宙に舞うそいつの正体は巨大な杭、建築機材の部類であった。
そしてカターリナがバランスを崩し、アスファルトに両手と膝をめり込ませ四つん這いとなった所へ、直撃。

「アッー!?」

巨大な杭が臀部装甲を貫いていた。

不自然な姿勢から伝わる着弾の衝撃、機体の緩衝機能が上手く作動せず、ダイダイオは肛門に軽い痔の気を感じた。
彼にとっての問題は、金的に続いてオカマ堀りという男として使いモノにならなくなりそうな攻撃どうこうより、ことごとく罠にはまった屈辱。

ダイダイオが本命と勘違いして攻撃した機体は、工事現場に駐機された本当に普通の作業ロボ。
エンジンだけかけて銃砲サイズの水道管を握らせた程度の代物。
そして罠の主はデコイ群に紛れて背面からの攻撃。
ダイダイオはカターリナの体勢を立て直し、叫ぶ。

「貴様ァ!何者だッ?」

返答とばかり瓦礫の山が黒鉄の拳で突き上げられ、そこから立ち上がる一機の作業機。
黒塗りの機体に竹尾ゼネコンカンパニー(有)のロゴや安全表記。

そして狼の紋章。

色彩の数は極端に押さえられているが、野性的な筋肉の美しさがしっかり表されたデザインだった。
見る人が見れば性的なものすら連想させる紋章の描かれた腕が突き出され、カターリナの頭部を掴む。
それは一瞬の事だった。制御しきれないようなバカ出力で急加速して距離を詰めたのだ。

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