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海から見つかるのは
官能リレー小説 - SF

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海から見つかるのは 1

都心部の幹線道路には不釣り合いなボロボロの軽トラックを運転しているのは、黒い競パン一丁に首からタオルをぶら下げただけの、いかにも海の男といった風体の男だ。
「……」
その男の後ろ姿を眺めながら、荷台で腕組みをしているのは、こちらも海の男と言った感じの筋骨隆々の大柄な男だった。
荷台には、大きなクーラーボックスやらが所狭しと積まれている。
「あー…しかし、いいのかねぇ? こんなに『獲物』を持って帰っちまってよぉ?」
大柄の男の言葉に対し、運転席にいる男は振り返りもせずに答えた。
「構わねえさ。この『獲物』は一般に流通出来るような代物じゃねえんだ。俺らみたいなプロが扱うしか無いんだよ」
「まぁ、そうだろうけどよ…」
そんな会話をしながら、夜の国道を走ること一時間。軽トラはとある山奥にある巨大な施設へと到着した。
「おい、着いたぞ」
男が声をかけると、荷台にいた大柄な男が軽々とした身のこなしで飛び降りる。
その男の姿を見た施設の職員と思われる一人の男が、慌てて駆け寄ってきて軽い挨拶をした。
「うーっす。お疲れさん」
「おう、それにしても相変わらずここは辛気臭ぇ所だな」
施設はまるで刑務所のような外見で、正面玄関に当たる部分は鉄格子によって完全に閉ざされている。
その建物の周囲を小規模な格納庫が幾つも取り巻いており、それぞれの施設から漏れて聞こえてくる機械音や金属音が不気味な不協和音を奏でていた。
やがて二人は建物の中へと入り、職員に案内されてそのまま奥へと進む。
そしてしばらく歩いた後に通されたのは、透明なアクリル板によって仕切られた小部屋だった。
中には数人の男たちがおり、それぞれ思い思いの姿勢でくつろいでいる。そしてその全員が競パン一丁である。
彼等は例外なく筋骨隆々で、海の男らしく浅黒く日に焼けている。
男たちの視線が一斉にこちらに集まる。これからここで何が行われるのか理解していない彼等は、よからぬ気配を感じ取り訝しげに眉をひそめていた。
そんな視線を気にも留めず、二人は部屋の片隅に用意されていた椅子へと腰を下ろす。
「じゃあ、そろそろ始めてくれ」
荷台に居た大柄の男…大内陸斗がそう言うと、部屋の奥に立っていた男が前に進み出ておもむろに語りだした。
「えー…本日はお集まりいただきありがとうございます。この度は我が『マキガイ興業』の最新マシーンを御覧いただくために集まって頂きました。まずは担当の私から簡単に説明をさせて頂きます…」
そう言って男が説明を始めた。どうやらデモンストレーションが始まるようである。陸斗達はそれを聞きながら時折頷いたりしながら聞いていた。
「…では、ご覧頂きましょう。『マキガイ』最新式…『後期型ゴールド・ディスポVersion5(改)』です!!」
その言葉と共に部屋の照明が消え、部屋が真っ暗になる。そして次の瞬間、アクリル板の向こう側に突然金色の触手が現れたかと思うと、それは生き物のように蠢きながら陸斗達の方に迫ってきた。
「うぉっ!?なんだこりゃ?」
驚きの声を上げる陸斗に対して、運転手の斎原宏は余裕の表情で説明を聞いている。

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