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俺の開拓物語
官能リレー小説 - SF

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俺の開拓物語 6

 二人で食事の片付けをして、ゆっくりと休憩する。
 元々、乗員用の娯楽室だった場所だ。フィットネスだとかゲームだとか色々楽しめる。

「それにしても、アラクネって伝説の生き物だと思っていましたけど、宇宙にはいるんですね。それに上半身は人間のかわいい女の子でしたし」
「他の星にもファンタジーっぽい生物もいたって聞いてるし、レイツェンバル星人にいたっては見た目はまるっきりエルフだったりしたくらいだからおかしくないんだが、この星にもそんなのがいたのは俺もちょっと驚いたよ」

 ちなみにレイツェンバル星人ってのは同名の星を発祥とする異星人で、彼らも恒星間航行技術を持っているが、地球人とも特に争わず平和的な関係を築けている。
 150年ほど前、人類同士の戦争や紛争を減らすべく、受胎出生する新生児の男女比がやや女児が多くなるようにする遺伝子改変が行われたが、それも当時接触した各種の異星人達が、軒並み地球人類よりよほど平和的な性質の種族ばっかりで、「その歴史を見る限り、地球人類は好戦的に過ぎる」として異星人達の不信を買ってしまい、人類自身が進化せざるを得なかった結果だ。
しかしそれでも紛争は無くなることはなかった。
それどころか、あまりにも平和的すぎる他の星の種族に対して不気味なものを感じる者も少なくはなかった。
「見えない場所では醜い争いがあるのでは?」「争いが起こらない改造がされているのでは?」「人類に対する大規模な当て付け行為ではないのか?」という不安感が人類全体に広がっていった。
だがそれら誤解や疑念も、各種族が互いの実情を知るにつれて沈静していった。
紛争が絶無ではないにせよ、戦争らしい戦争は起きず、これは異星人達が平和的とは言っても、相応の防衛手段を持っていたことも大きい。軍事だけでなく、経済、文化などあらゆる手段で。
地球人は、いわばそうした倶楽部に後から入会したようなものなのだ。

話を戻そう。

「なあヒルデガルト、この辺りは畑に適してると思うんだ。少しずつ開墾していこうと思う」
空間投影でマップを広げる。
「まず、「木星」が発進できる滑走路を兼ねてこの部分は平坦にするだけにして、その左側に広がる草地を、少しずつ畑にしておこうと思う」
「何を栽培できるか、試してみないといけないですものね」
「ああ。理論上は地球の作物の多くが栽培可能らしいが、現地植物でもよいのが無いか、いずれ探そうとは思ってる」
ドローンが二機戻ってきた。一機は触手生物の一部を採取しており、もう一機はブドウに似た形をした黄色い果実を採取していた。
「この果実はレモンみたいな色をしているな。生で食べられるといいんだが」
「この触手はどうしましょう」
「持ち帰ってきたってことはこれも食用になるということか?どう見ても食用になりそうにないんだが…」
通常ならドローンが危険な生物を艦内に持ち込んでくることはあり得ない。
だが二人はこの触手が擬態した漁師に襲われたばかりだ。少し不安はあった。
「食べられるわけがないように思えますし、食べられる物だとしても気持ち悪いです」
 食べられるわけがない。ヒルデガルトは明らかに否定的だった。
「ドローンのセンサーが鑑定ミスを起こしたかもしれない。分析するか…今から分析して、危なそうならすぐ捨てる。ドローンの鑑定基準データも直す必要があるかもしれない。ヒルデガルト、用意してくれ」
「はい、マスター」

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