監獄惑星 1
遠い遠い宇宙にガンマル帝国と言う何百もの星を支配する銀河帝国が存在している。
ガンマル帝国は全宇宙統一という野望を掲げ侵略を行ってきた。
そんな帝国の侵略を防ぎ、支配された星々を解放するために立ち上がり、戦う者たちアルファール連合軍が生まれた。
現在、帝国と連合軍は日々、熾烈な戦いを繰り広げていた。
その帝国の辺境にその星はあった。
惑星としては小さく、ヒトが住める環境ではあるが文明はなく、他のヒトが住んでいる星ともかなり距離もあり、資源もあるにはあるが多くもないので開拓もされず、しかも惑星の周りを大小様々な小惑星が覆っていて星への出入りを難しくしていた。
そんな星であったが為に百年前まで放置されていた。
だが現在はその星の状況を利用してあるものが作られた。
帝国の重犯罪者や連合軍の捕虜を収監する為の施設。
入れられたら最後、死ぬまで出ることの叶わぬ星
「監獄惑星デルターン」
それがその星の名前だ。
グオォォォン
大きな機械音を上げながら、帝国の大型装甲輸送船がゆっくりと着陸した。
輸送船のハッチが開くと、中から何十人ものヒトが、武装アンドロイドに誘導され船から降りてきた。
「みっなさ〜〜〜ん、ようこそ監獄惑星デルターンへ。」
明らかに場違いな明るく大きな声を出したのは、軍服のような制服を着た1人の女性だった。
その女性は身長が2m近くあり、スタイルは胸はまるでバレーボールが2つぶら下がっているのかと思う程大きく、ウエストはキュッとしまっていて、お尻はズボンがピチピチとなるぐらい大きい。
顔は正に絶世の美女という言葉がピッタリ合うぐらいに美しかった。
しかしその女性の肌はピンク色をしていて、頭には髪の代わりに何十もの触手が生えていた。
「もしかして、テンタクル人か?」
囚人の1人がぼそりと呟いた。
テンタクル人
テンタクル人は雌雄同体で男性器と女性器を持っており、体から触手を自在に生やして操り、また、人体に様々な効果を与える体液を作り出す種族だ。
かつてテンタクル星に住んでいた種族だが、住んでいた星が光速レベルの巨大隕石がぶつかりそのほとんどが絶えて、今では少数種族の一つになっていた。
「私はこの監獄の署長のべリア・スフィンよ。よっろしく〜〜。」
ハイテンションに自己紹介していると、囚人の中から1人の中年男性が飛び出してきた。
「スフィン署長!私だ帝国議員のマクベスだ!私は無実なんだ!連合のスパイなんかしてないんだ!頼む!君のちかr・・・」
「・・・うるさい・・・」
ドスッッ
「がっ!はぁぁ!」
鈍い音がしたと思うとマクベスと名乗った男が署長の触手に貫かれていた。
「あのさぁ、ひとが自己紹介してるときにぃ、なに邪魔してんのぉ?」
ブンッ! ビシャッ! ブンッ! ビシャッ!
「しかもぉ、相手がぁ、禿で脂っこいおっさんだったらぁ、よけいいらつくんだよねぇ。」
ブンッ! ビシャッ! ブンッ! ビシャッ!
「あんたが元がどれだけえらくてもぉ、ここではただの囚人でしかないんだよぉ。」
ブンッ! ビシャッ! ブンッ! ビシャッ!
「そしてぇ、その囚人の命はぁ、私たちの手のひらにあるのぉ。」
ブンッ! ビシャッ! ブンッ! ビシャッ!
「わかったぁ〜〜〜?・・・って、あっ!」
怒りのあまり我を忘れていた署長が冷静になると、目の前にはグチャグチャになった肉塊が転がっていた。
それは署長の触手で潰された男の残骸であった。
「あっちゃ〜〜〜。殺っちゃた。」
「何をしてるんですか。」
眼鏡をかけたテンタクル人が怒り気味に近づいた。
「あはは、ごめん、ごめん。今回の移送者にはさ、かわいこちゃんが多かったから、気合入れて自己紹介したのに邪魔されて、つい。」
「ついじゃありません。はぁ・・・。『これ』は後で囚人に片づけさせます。反抗的な者どもにはちょうどいい薬になりますし。」
「ありがと〜〜。・・・あっ、彼女は副署長のヒルデ・カーター。私の右腕的な存在よ。」
まるで今起こった惨劇が無かったかのように隣の女性を紹介した。
「ヒルデだ。先ほど署長が言ったように、貴様らの命は我々が握っている。長生きしたければ、逆らうような馬鹿な真似をするな。」
ヒルデは自らの触手を逆立ててそういった。
「あらあら、みんな怖がっちゃってるわね〜〜〜。・・・あの子以外は。」
そう言いながら署長は1人の少女に近づいた。
「ようこそ、ミーナちゃん。連合の名パイロットに会えるなんて感激だわ〜。」
ミーナと呼ばれた金髪の少女は、キッ、と睨んで黙ったままだった。