年齢操作 1
「ゴホッゴホッ…酷いホコリだなぁ〜」
僕、古川 章(ふるかわ あきら、14歳、中2)は部屋いっぱいのホコリまみれの機械群を見渡しながらセキこんだ。
「どうする?こんなのリサイクルショップも引き取ってくれないだろうし…」
隣で従姉の由美姉(ゆみねえ)こと古川 由美(ふるかわ ゆみ、17歳、高2)が気も滅入るといった口調でつぶやくように言う。
時は夏休みも後半にさしかかって来て微妙に焦りを覚えたりしている憂鬱な時期、所は僕らの死んだ祖父ちゃんの家…。3年前に祖父ちゃんが死んで以来、ずっと空き家になっていたのだが、親達が話し合って「家を壊して更地にして売ろう」という事になり、ちょうど暇そうにしていた僕と由美姉に「何か貴重な物が残っていないか見て来い」という命令が下されたのだ。
「なになに…自動目玉焼製造機…こっちは自動小説音読機か…」
「全部まともに動かないじゃない」
祖父ちゃんは“自称”発明家だった。これらの機械が本物だったら凄いのだが、残念ながら祖父ちゃんは酷い妄想癖の持ち主で、特に祖母ちゃんが死んでからはその妄想を実践に移し始めた。これらの発明品…いや、ガラクタはその産物なのである。
「しかしこんなに沢山あったら、一個ぐらいまともに動く物もあったりしてねぇ…えい!」
僕はふざけて○人28号のリモコンみたいな機械を由美姉に向けてスイッチを入れた。
すると次の瞬間、僕の目の前で信じられない事が起こった!
「ふえぇ〜!?な…何これぇ〜!?」
何と、目の前の由美姉の背丈がシュルシュルと縮み始め、あっと言う間に4〜5歳ほどの幼女になってしまったのだ。
「嘘だろオイ!?一体どうなって…!!」
僕はハッとして自分の手の中のリモコン(?)を見た。
“年齢変更機”と銘打たれたそのリモコンは、中央に回転式のツマミがあり、その右下にON/OFF、左下に加齢/減齢という二つのスイッチの付いた簡素な機械だった。
「ま…まさかコレのせいで…!?」
由美姉の鳴き声がうるさかったから、
とりあえず、由美姉を元の体と年齢に戻した。
次は幼馴染の小林美和子で試してみることにした。
美和子の家
「美和子ー。入るぞー。」
「ち、ちょっとー。ノックぐらいしなさいよー。」
「何だよ。お前だって、僕の家の部屋に勝手に入ってるときあるだろー。」