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剣心魂
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣心魂 2

この国は天鳥という国名だけあって、上から島全体を見ると鳥の形をしていた。
かつてこの島は大昔の大陸プレートの接触で隆起した地であり、原始人の時代から先人たちが開拓し、
そこから数百年も小さな島国ながらも大いに発展した国である。

だが、ある時から一つの国だった天鳥は国の支配権を巡って多くの小国に分裂し、国同士の争いが絶えない国となり、
天鳥の島の東半分を占める大国『東翼』が唯一の平穏な国といえる。


そんな戦乱の時代に、一人の男が立ち上がろうとしていた………


ザザー…ザザー…

……音…?

ザザー…ザザー……ザザー…

頬に冷たい何かが、音がなるたびに伝わる。
波の…音?
だけど視界が暗い…口に何か入っている…
俺はここはどこなのか確かめるため、身を起こそうとした。
…だが、手が埋もれるような感覚と腕の痺れで思うように立てない。
なんとか力を入れ、身を転がすことは出来た。
目に入ってきたのは強烈な日差し…暗い視界にいた目は眩しさで細め、そして視界を確保した。
青い空に…白い雲………
頭を動かして辺りを見ると、そこは浜辺であり、頬に伝わっていた冷たさの正体は渚であり、今は頭にそれが当たっている。
頭が覚醒したおかげか体に力が入るようになった。
とりあえず身を起こして辺りを見渡す。
海と空、浜辺と渚。振り替えったら緑の雑草郡に松の木が生えている。
この場所は…知らない。
空っぽの頭になぜ自分がここにいるのか考える。


…ない。
何もなかった。
思い出そうとしても、頭から何も出てこない…。

「どういう事だよ…ここは…どこなんだ…」

誰も答えてくれない問いかけを、一人呟いた。


グウー………

自分の腹から、情けない虫が音を上げた。
「…腹減ったな…」
自分が記憶喪失なのは兎も角、腹が減ってはなんとやら。
とりあえずこの場にいてもどうしようもないので、人がいる場所を目指して歩くことにした。

雑草郡を歩き、雑木林に入って道なき道を行く。
歩く途中、自分の姿を見てみると、ボロボロの着物を来ていて乞食のようだ。
慈悲ある者なら恵んでくれようが、今は戦乱の世。
野党の類なら捕まえられて人買いに売り飛ばされるだろう。

…待て、さっき俺は『今が戦乱の世』と自然に考え思った。
しかし俺は自分の過去といったのを思い出せない…
見たことのある草木、ここが天鳥ということや、
今の世の中が争いが絶えないのは知っている。
生きていく上で必要な知識は知っているが、自分自身についての記憶が全くないのだ。
まるで記憶がそこだけ綺麗に削り取られたように…………

「て、うおっ!」
 ドンッ
「うわ!」
一瞬景色が流れ、体が地に倒れる。
何かにぶつかったようだ。
自分の声より先に男のビックリした声が聞こえた。
「いつつ…あんだ手前は!」
こちらが身を起こすと目の前には中年らしき男がいた。

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