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エアザッツ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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エアザッツ 2


「彼が何者なのか、もしかしたら危険人物かもしれん。その場合、彼をこの場で再封印するが、それでもよいのだな」
「構いません。私達は魔王を倒し、人々を救うのが使命。この少年も、救われるべき一人と信じます」
「わかった。では、始めるぞ」

ギルドマスターのランデル導師が長い呪文を唱える。
アメシスト達も緊迫した面持ちで、術式が進むのを見守っていた。
あちこちの魔法装置が、一つ、また一つと何かしらの動作を始め、魔法陣に魔力の流れが描かれる。

ランデルの長い呪文が終わると、中央に据えられた氷塊が、青白く、光りだした。

「人魂みたい…」
「燃えているようにも見えますわね」

青白い光は氷をエネルギーとして消費しているのか、それとも氷を解かす炎なのか、少しずつ氷塊が小さくなっていき……

やがて氷塊が、青白い光の消失と共に消え去り、後には横たわる少年が残された。

「おお……成功だ!」
「溶けたぞ!」

魔術師達もアメシスト達も喜ぶが、すぐに疑問がわく。

「生きて……いますの?」

すぐにシルヴィアが少年に駆け寄る。
彼の脈をとり、呼吸を見る。

「生きて…います!」
「おお!」
「早く起こしてやってくれ!」

その時、少年が目を開けた。

「んん……ここは?」
「目覚めたのですね。私は僧侶シルヴィア。貴方は?」
「僕は……フィリップ…魔術師です。ここは?僕はどうしてここ…うっ!」
(僕は、どうしてここにいたんだ、確か…あれ?思い出せな…)

フィリップは頭を押さえて呻いた。
(どうなってるんだろう、ほとんど何も思い出せない…)

「大丈夫ですか?」
(心配をかけても悪いし…痛!)
「うう、頭痛がしまして、でも大…うっ!」

フィリップの頭に手を当て、シルヴィアが回復魔法をかけた。

「ありがとうございます」
「君は…何者なのかね?私はメリディス魔術師ギルドのマスター、ランデルだ」
「僕は、フィリップ、魔術師です。そこまでは思い出せるのですが、他の事はほとんど何も思い出せないんです」
「何と!どこの出身か、言えるかね?」

記憶喪失と聞いてシルヴィアもランデルも驚いたが、ランデルはフィリップの言葉の発音がどうにも古めかしい事に気づいた。

「メルツェルハーフェンです」

彼の答えに、ランデルやほかの魔術師達も顔を見合わせる。

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