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エアザッツ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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エアザッツ 1

これは後世に「魔法王」と呼ばれ名を遺す一人の少年の物語である……


メリディス島にあるダンジョンの最奥で、彼女たちは思わぬものを見つけた。

「何これ?」
「氷漬けの…少年ですわね」
「軍資金……にはならなさそうねぇ。百年前の隠し財宝があるって聞いて来たのに」
「でも、助けた方がいいですわ」
「生きてるのか?この子」
「死んでいたら、氷漬けにはされていないでしょう。でも、魔術師の方でないと彼を解凍できませんわね」

首をひねっているのは、女勇者アメシスト。
金にならないと残念がっているのは、シーフで密偵のイレーネ。
助けようと主張しているのは、女僧侶シルヴィア。
いずれも20歳前後の若い娘で、共通するのはわがままボディの持ち主でもある事。

「とにかく、助けよっ。この大きさなら、台車に積めば外まで出せそうだしさ」
「食料の残りも少ないし、載せれば載るか」
「そうしましょう」

リーダーのアメシストの言葉で、氷漬けにされた少年は、洞窟から運び出された。
シーフのイレーネは、軍資金の当てが外れて落胆気味だったが。

「こうして見てみると、結構綺麗な男の子よね」
「言われてみれば、そうですね」
「まあ、見た目はいいけどね」

洞窟を出た彼女たちは、本来なら財宝を載せるべく用意した馬車に彼を積み替え、近くの街までの道中、あれこれと喋りながら馬車を走らせていた。

街に着くと、ダンジョンで手に入れた物品をまず売りさばこうとした三人。
魔法道具の材料になりそうなものが多かったこともあって、魔術師ギルドへ行った。
幸い、調達依頼が出ている物も含まれていたのでまずまずの額になった。

「それなりの額にはなったわね」
「あと、1つ相談があるのですが……この氷漬けの少年、解凍できませんか?」
「明らかに魔法の氷なのよ。洞窟の気温はちょっと肌寒いくらいだったし、水が氷るほど寒いところじゃなかったんだから」

ギルド職員は驚いて、とりあえずギルドマスターを呼びに行った。
出てきたのは、五十代のベテラン魔術師だった。

「わしがギルドマスターのランデルだ。しかしこれは、珍しい……」
「解凍できますか?」
「ふーむ……」

ランデルと名乗った男は、少年を覆う氷を、ためつすがめつ調べている。

「この少年、年のころは12,3歳、この凍らせ方は…やはり魔法によるものだな。生きた人間を生かして凍らせる、秘伝の魔法だ。解凍するには相応の魔法陣の準備が要る。明日だ。明日また来てくれ」

「「「お願いします」」」

彼女たち三人は、取っておいた宿に入る。

「でもさー、あの男の子、どうしてあんな事されてたのかな?」
「可愛いから、秘蔵したかったとか?」

少年の正体が何なのか、彼女たちの想像は彼女たちの胸のように大きく膨らんで、ピロートークめいたおしゃべりを続けて、寝るのが遅くなってしまったのだった。
翌朝、アメシスト、イレーネ、シルヴィアの三人が魔術師ギルドに行くと、ギルドマスターのランデル導師が待っていた。
受付嬢の一人に案内され、ギルド内の一室に三人が入ると、大きな魔法陣の中心に、氷漬けの少年が寝かされていた。

その部屋は、荘厳な雰囲気に包まれていて、アメシスト達は息をのむ。
聞けば大きな魔法の術式を行う時のため、専用に設置されている部屋だという。
見回すとそれらしい魔法装置が、魔法陣内外の数か所に置かれている。

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