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船に乗り込んだ獣性
官能リレー小説 - ファンタジー系

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船に乗り込んだ獣性 13

まるで、本当に天界に導かれたかのようだった。
魔力の渦は美しい青色の光を放ち、かき回される水夫の裸体を幻想的に照らし出す。
淫靡さと清廉さが同居する奇妙な光景が生まれつつあった。
渦の中に漂うのは水夫だけではない。桃色の魔物までもがその中に溶け込んでいる。
水夫と魔物の混合集団が青い光の奔流の中で乱舞している様は、ある種の芸術作品を思わせる美しさがあった。
水夫達の身体から漏れ出した精液や腸汁等の分泌物は、青白く輝く魔素となって空気中に放出され続けている。
この部屋全体が一種の巨大な魔法陣として機能しているのだ。
そして…ついにその時が訪れた。
水夫達が一斉に射精し、部屋を満たしていた膨大な量の魔素が一気に膨れ上がる。それらは天井を突き破ると、空高く昇り詰めていった。
「あぁぁぁぁぁぁっ!」
水夫達は声にならない叫びを上げながら、天に向かって駆け上っていく。
それはまさに、魂を浄化されて生まれ変わる瞬間であった。
部屋の外からその光景を見つめていた女型の魔物も、天に向かって手を伸ばし歓喜の表情を浮かべている。だが次の瞬間には不気味な笑い声を響かせながら搔き消えていった…。
「…」
夢の中か現実かさえも分からない光景の中で、ガレスは一人佇んでいた。
水夫達が居た部屋のあった辺りから放たれる青白い光の柱は、不気味にうねりながら天を貫いて伸びていく。
「何なんだ…あれは…」
あまりにも現実離れし過ぎていた光景を前にして、ガレスの思考は完全に混乱状態に陥っていた。だがそれでも彼は本能的に悟る。
恐らく部屋に居た水夫達は皆、あの光の柱に導かれてどこかへと旅立っていくのだろう。
ガレスには彼等を助けなければならない理由はない。護衛対象でもないし、彼等が逸脱した行動を繰り返すのなら始末しようとすら考えていた程だ。
それなのに何故か胸騒ぎがしてならなかった。
「…ここの上層部の奴等が仕向けたことなのか…」
ガレスは、隣に立っていた黒髪の兵士に向かって問いかける。兵士は首を左右に振り「分からない」と答えた。

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