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勇者が○○○で世界を救う!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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勇者が○○○で世界を救う! 2

「そういえば、君の名前は?」
「ロキ」
「杖は持ってないの?」
「まだ杖が必要な歳じゃ…」
「でも、発動体はいるでしょ?まさか女の人みたいに指輪とか」
アルミラが言う通り女の魔術師は指輪やステッキを用いる者が多かった。
だだし、魔法使いとしては月のものが魔力に影響するとも言われており、
常に頼りになる訳ではなかった。古代にはそういった弊害をなくすために付与魔術が研究され
魔法のアイテムといったものが存在する。
「これです」
「扇子ね。貴族の持ち物みたい」
「鉄でできていて頑丈です。もちろん扇ぐことも」
ロキの持ち物は風を生み出せる道具で、発動体が魔力の増幅や指向性をもたせる役割があって
小さいながら護身用具も兼ねていた。
「もう一人必要ね」
「はい」
二人は回復を担う者の存在を望む点では一致していた。戦いでの傷や毒を瞬時に癒やしたり
魔物の中には不死で不浄な怪物もいてそれらには神聖な力が最も有効で、魔術師に自身の気力を
与えることが出来て勇者のパーティーには不可欠だった。
「問題は宗派ね」
「正統派ですか?」
今回の魔王討伐が国王の一存でないことは二人は理解している。聖地奪還も含まれていた。
正統派は王族と結託して統治に食い込んでいたが、近年では腐敗や権威の失墜と求心力が低下していた。
庶民の間では建物だけが立派という陰口も囁かれる。
それに対し、異端派は貴族に代わって力を持ち始めた商人や富裕市民や地主に支持を広げ、
進歩的な教えにより女性にも高位の聖職者がおり、今や新教と呼ばれるまでになった。表立った宗派抗争が起きなかったのも魔物という外圧のおかげである。
「異端派ね」
「新教ですよ」
二人は聖職者を探す。正統派は聖印が刺繍された僧帽と裾の長い貫頭衣が特徴であったが、
新教の聖戦士はより実戦的であった。両者の唯一の共通点は武器は鈍器に限られている。
「あの人、きっとそうよ」
アルミラが指さした方に袖なしで裾の長いチェインメイルに頑丈そうなガントレットと膝から
足先までを板金で守られており、手には歩兵用の柄の長いフレイルを持った女戦士がいた。
「あなたは、新教の…」
「いかにも」
ロキが声をかけると、彼女は短く答える。金髪の長い髪に割と端正な顔立ちではあるが、
何を考えているか分からない双眸と辻での説教には向いていなさそうな訥弁で声も小さい。
「あなた、癒しの技は…」
「神の下僕として、奇跡は…当然」
「ロキです、お姉さんは?」
「ユニス、聖地奪還に興味はない。民衆の敵である魔王に…鉄槌あるのみ」
ポーカーフェイスを崩さないユニス。
幼さの残る顔立ちに、ややこじんまりとした体格。ふくよかな胸が彼女の可愛らしさを際立てていた。

「わたしはアルミラよ。どう?貴女も一緒に組まない?」

「そうですね。嫌です。」

「そうよね。やっぱり人数は多いほうがいいしよろし…く?………えっ?」

無表情なユニス。

「ですから、せっかくのお誘いですが結構だと言ったのです。」

アルミラの眉間に皺がよる。

「あ、そう。じゃあ私たち、他のメンバー探しに行くから。」

「ちょ、ちょっとアルミラさんも!……あのう、ユニスさん?どうして僕たちと組んで貰えないんですか?理由を教えてください。」

慌てて間に詰め寄るロキ。
ユニスは目を細め、怪訝な顔つきになる。

「だって、あなたたち、見るからに弱そうだから…」

くるり、と背を向けてそのまま人込みの中に消えていくユニス。

「むっかぁ〜!なにあれムカつく!……はぁ〜……ま、いいわ。次よ次。他のやつ探しましょ。」


「人集めも重要ですが、まず戦略ありきです。まさか、いきなり山脈にある迷宮に挑んだりしませんよね?」
「近道と思わせておいて、地獄よね。魔王城の近くに出る保証もないし、まずあのルートは選ぶべきじゃないわ」

二人は賢明な方であった。勇者の子孫の間では迷宮に挑んでこそと考える意見が根強く、
装備や人数に恵まれていても敵の罠に落ちるケースが多かった。

「聖地も興味ないわ」
「それがいいです。長い船旅が必要だし、敵の占領地の中でも特に堅固な城塞都市です」
「まずは占領地の解放ね」
「苛烈な圧政と聞きます。いち早く敵に尻尾を振った連中もいれば、従っているふりをしつつも、密かに武器や同士を集めて勇者と共に立ち上がろうとしてる人々もいるそうです」

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