世界を救うのは勇者?いいえビッチです 2
「あのなぁ…」
アランとしては、支配している人間と力比べがしたいのだ。力の強い者とやりあって己の強さを誇示したい。それは魔族の欲求なのだ。
「私は魔族のチンポを啜って生きていたいの。」
しかし、ミイはそれに応えようとはしない。
「また出産するんだぞ?嫌じゃないのか?」
ミイは以前魔族との子を出産したことがあった。
「全然。寧ろ人間の子どもと比べて手がかからないから楽だわ。ほったらかしにしても死なないし。すぐにまたセックスできるし、最高じゃない。」
魔族は生まれた時から自立している。人間の赤子と比べて、自分の栄養となる食べ物が何か理解しており、すぐに本能的に生きるために活動する。
魔族の子は、人間の子と比べて育児をする必要がない。ほったらかしにしても問題ないのである。
魔族は多産型なのである。魔族の精液には栄養が含まれており、母体がいつでも健康のままで妊娠することが出来るようにするためだ。
「そういうことじゃなくてよぉ。また前みたいに、魔族と人間同士で殺り合おうぜ。な?お前も元戦士の血が疼くだろ?」
アランは、人間を力ずくで支配することに飢えていた。魔族として、また恐怖と絶望を与えてやりたいのだ。
「別に、戦士だったのなんて、もう何年も前の事だし。…今はビッチとして、いろんな魔族のチンポ頬張れて満足してるし。アラン様のイボイボ付きチンポがあるから、どうでも良いかなー。」
どこか投げ槍な口調だった。
勇者の消息が不明となり、魔族に抗う希望を失って、肉欲を追い続ける元戦士のミイ。
いつ如何なる時でも、魔族からの求めに応じ腰を振って生きる術を見出だした女。
戦士の頃はそこそこな大きさだった胸が、今では魔族に改良され、すっかり爆乳となり、子を妊娠出産したことから母乳が出るようになっていた。
「…第一、こんな身体でどうして闘えって言うのよ?…妊娠してないときは発情して動けないし。妊娠したら身体は重くて胸も張って思うように剣なんか振れないのよ?」
「そうかねぇ?」
「そうよ。…ね、意地悪しないで、たまにはちゃんと搾ってよ。あなたたち魔族が私を快楽漬けにしたんだから。責任持って犯しなさい。」
ーー。これが、ミイの日常だった。
この日の夜更けに、ミイはアランの住処から出て夜空を眺める。
「魔族が私の身体を性欲処理に使う毎日。よがって喘いで、魔族の子を孕む。とっても気持ちいい毎日。」
ミイの頬に、一線の線が伝う。
「勇者様がいなくなったお陰で、私はこんなに充実した毎日が送れる。とっても幸せ…」
ミイは夜空を眺める。涼しい夜風が、頭を冷やしてくれた。
ただ呆然と星を見つめていたミイの視界に、一つの流れ星が光った。
「あ…」
流れ星はすぐに消える。我に返ったミイは、頬を拭う。
「いけない。目から汗が出ちゃってた。…明日は魔族専用の娼館で働かないといけないから、もう寝なくちゃ。」
寝床に戻ると、倒れるように眠りこんだ。
ーーーーーー
「ねえ?」
うるさいなぁ。もう少し寝かせてよ。
明日は忙しいんだから。
「ねえってば!」
何よ?
「えっと、ミイちゃんだっけ?この世、変えたいとは思わない?」
勇者がいなくなった今、どうやって変えるのよ?無理に決まってるでしょ。
「出来るよ。君なら、きっと変えられる。」
何バカなこと言ってるの?無理よ。
「無理じゃないよ。ミイちゃんなら、この世を変えられる程の力が手に入るんだから。」
嘘ね。勇者がいなくなってから、今まだいろんな人が魔族に挑んだのよ?変えられる訳、ないじゃない。
というか、アンタ誰よ?
「僕は、そうだね。流れ星だよ。たまたまこの星に流れてたら、悲しい願いが沢山あったからびっくりしたんだ。ゆっくりしてたら、君の想いが聞こえたから、君の夢に入ってきたってわけ。」
なにそれ。星が人の夢に入るなんて聞いたことないわよ。アンタ魔族じゃないの?
「姿見えないから仕方ないかもしれない。でも信じて貰うしかないよ。」
…で?
その力って、どうやったら手に入るのよ?
「気を楽にしてて。今から呪いをかけるから。」
なによ呪いって。
「聞くけど、君はこの世の為になれるなら、何だってできるかい?」
質問してるの私なんだけど。
「すっごい警戒されてるね僕。まあ確かに怪しいよね。」
…はあ。わかったわかった。何だって出来るわよ。
「うん、わかった。」