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淫妖伝――生存者(サバイバー)
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫妖伝――生存者(サバイバー) 2

初めての射精の快感の余韻に脱力しきっている斗真を女たちは添い寝をするように寝そべり、抱きかかえながら斗真の髪を撫でる。
女たちの柔肌のぬくもりや芳しく扇情的な匂いにつつまれながら、斗真はぼんやりとすべてがとけていくような気がする。
湿った風が吹き始めて、ざわざわと木々の梢が揺れる音がする。夏の日差しが曇り、遠くで低く唸るような音が鳴っている。
女たちは木々の隙間の空を見上げて目を細めて微笑している。ぱちっぱちっ、と雨粒が葉を叩く。
「もっと降れ降れ」
「もっと降れ降れ」
地面の草むらも雨に濡れて揺れる。女たちは再び斗真への愛撫を始める。
斗真は女たちにうながされるまま、唇に当てられた乳首を吸い舐める。また女たちは斗真の顔にまたがり、牝の蜜穴を舐めさせる。
斗真がそうしながら女たちの唇に搾りとられるように射精に導かれていく。
夕立が終わり、木々の隙間に星空が見える。それを見ているうちに周囲がすぅっと暗くなる。
何回射精したのか覚えていない。
霧野斗真は裸足で全裸になり夜道を歩いている。声をかけても立ち止まらない。肩をつかむとその場で崩れ落ちるように倒れたらしい。
村には警察署はなく、駐在所しかない。自転車に乗った警官に発見、保護された。意識不明のまま眠り続けた斗真は、意識を取り戻した時には病院のベットで点滴をされて寝かせられていた。
よくある怪談話のパターン。ある田舎では踏み込んではいけない禁地がある。そこにきっかけはまちまちだが、子供が入ってしまい恐怖体験をするというものがある。幼い頃に霧野斗真が廃墟の神社で遭遇した謎のふたりの美女が何者だったかはよくわからない。
生き残り帰還した人間。レイプされた女性が心の傷を克服して立ち直った時、彼女のことを生存者(サバイバー)と呼ぶことがある。生きることはサバイバルでもある。霧野斗真は田舎の神社跡で遭遇した妖しげな女たちとの体験を忘れていた。
異性との初体験は覚えていても、初めて射精したときや初めて自慰行為をしたのはいつか忘れている男性も多い。
斗真の祖父源一郎は孫が全裸で発見され、首や内股にキスマークのようなアザができているのを斗真の母親から聞いた。斗真が目ざめずに眠り続けていると聞いて思い出したことがあった。
神隠しにあう子供は裸で発見され、目ざめる前に失踪する。それは禁地に子供だけで行ったからだという話だ。昔は村の子供に悪いことをすると鬼に連れて行かれるとおどかされたものである。
その話と斗真の見つかった状況があまりに一致しすぎていた。そこで、祖父は禁地に行ってみると斗真の衣服が脱ぎ捨てられているのを見つけた。
「こんなことが、まさか……」
古い神社は人があまり来ないので若い娘などが一人で行き強姦されて殺されたり、変質者に子供が殺されたりしたことから、禁地になった。
鬼などいるはずがない。
源一郎はそう考えるが不安になる。村に帰省中なのは娘と孫だけ。
斗真に手を出したのは村の誰かなのか。

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