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大淫者の宿命星
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大淫者の宿命星 15

そんな彼女も無敵ではない。
苦手なモノもある。
幽霊、妖怪、妖魔、悪魔……俺には見えないし、感じないけど、呼ばれかたがいろいろあるモノノケ、略してモノを彼女は削除する。
俺なりに彼女の話を聞いて、整理して考えると、モノはアプリで、彼女はアンインストールや削除するみたいな感じに思える。
アプリをインストールして、人は使っている。それがないと基本機能しかないスマホみたいなものらしい。
ただ使いにくいアプリやウィルスプログラムが組み込まれたアプリをインストールしてしまうと、誤作動したり、フリーズしたりして故障する。
情報を転送して、相手の端末を操るというプログラムが呪術と考えると似ている。
だから、彼女は原因アプリを削除する。
あと復旧の再起動もかけるだけ。
それでもダメなら、どうしようもない。
彼女はアンチウィルスプログラムでもある。
ただし、更新しなければ対応できないウィルスプログラムもある。
そこで俺とすることで彼女は最新版に更新される、というわけだ。
彼女に直接依頼をするというよりかは、彼女の所属する霊媒師の組織が依頼を受けて、連絡を受けた彼女が現場で、ウイルスプログラムを検知したり、削除したりする。
検知だけする霊媒師がいたり、サポートでプログラムを再構築する霊媒師がいるが、彼女は高性能でまとめて一人でこなしてしまう。
そんな話をすると、わかりやすくていいね、と笑顔で彼女が答えてくれる。
――その考えだと、すごい結論になるよ。
彼女はそう小声で言った。
「世界は巨大なプログラムで、全てのものはそのプログラムのわずかな部分にすぎないって結論」



彼女が留守の間に部屋で留守番している猫のような生活だが、昼寝以外にも、たまにはいろいろ考えてみることだってある。
「存在そのものがプログラムで組み込まれて、連動するっていうか読み込まれて、なにかの表示だったり、画像の色を決めていたりするとか……。
でも、それが何かは全体は把握できない巨大なプログラムでずっと作動している」
彼女はすごいと感心していた。
「気とかは、道教の思想で使われた言葉ね。それを、ずっと使い続けてる。
その頃にはサーバーとかハードディスクのブードセクタとかインターネットサイトやメールとかもないからウイルスに感染、ということも当時の人は理解できないけど、お祓いをしたと思うの。
不正プログラム、たとえば、そうね……ブラウザー・クラッシャーは仕掛けられたWebページにアクセスしなければ引っ掛からないけど、DoSアタックはネット接続しているだけで、攻撃されるかもしれない。ファイアウォール・ソフトで監視、制限するでしょ?
ライトユーザーでもウイルスやワームがtoolを使えば簡単に作れるみたいに呪術を使う人がいて、同じことが、私たちの現場でも起こったりしてるって説明したほうが、わかりやすい人もいると思う。
不正toolを禁呪と考えるとぴったりだもの。全く関係なさそうなものがつながっているみたいで、すごい」
「今にメールに添付した画像のおふだとか、携帯電話とかの通話で真言を聞かせたりするんじゃないか?」
「ありがたみがないわね。まあ、ね、方法はいろいろあってもいいとは思うけど……なんか手抜きみたいで嫌だわ、それ」
大まかな考え方はズレてはいないようだが、彼女の知識は、俺では理解しきれない気がした。
初めて俺が父に図書館につれて行かれた幼い頃に、自分の手の届かない高さの本棚がズラリと並んでいるのを見つめて感じた気持ち、どこから手をつければいいかわからない感じがする。
彼女とセックスすることが、何がどうなって彼女の霊媒師としての活躍に貢献しているのか、正直なところ俺には理解できていない。
「すけべなくせに」
彼女は微笑を浮かべる。俺は仰向けに寝そべる彼女の首筋に唇と舌を這わせる。
「うぅん……ぁあっ……はぁぅん……」
熱い吐息とあえぎ声、抱きしめて押しつけられる双乳の柔らかさと弾力。俺は彼女の唇に貪るようなキスをして、舌を入れる。唇の感触と舌が絡みつく感触。もう考えるのは止めて、彼女の与えてくれる至福の境地と快感の坩堝に、俺は身をゆだねることにした。





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