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大淫者の宿命星
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大淫者の宿命星 11

「アルバイトで働きたくないだけでしょう?」
「ちがうよ」
「お父さんにいろいろ言われたくないから?」
「ちがうよ」
「じゃあ、なに?」
「俺は彼女と結婚したいんだ」
どうだ、と言わんばかりに言ってみた。
「同棲しなくても結婚できます」
だめか。
「まったく、よそのお嬢さんに迷惑かけて情けないなぁ。そのつもりだったら、早目に言っておいてくれたら、あのお嬢さんといろいろ話したかったのに」
「ごめん」
「あー、お前のごめんは反省してない気がする。いつも大事なことを隠して、いきなり言い出すんだから」
「か、母さん?」
父親の顔色がかわった。
「出ていくならしょうがないわよ。でも、また失敗して帰ってこれるとは思ってないでしょ?」
「お前は甘いんだよ、たぶん、あのお嬢さんの迷惑になるだけだ」
「じゃあ、ずっとこの子は、うちに置いておくつもりなの!」
毎日、父親の愚痴を聞いていた母親も、我慢していたのだ。言ってもしかたないことを毎日言い続ける夫、なにも変わろうとしない息子。さすがに嫌気がさして我慢の限界だったのは、俺じゃない、この人だ。

こうして、彼女と同棲することになった。
もともと、貯金もたいした金額があるわけでもなかったし、荷物は衣類ぐらいなものだ。
両親が迎えにきた彼女に気を使って、十万円封筒に入れて「少ないですが、息子の家賃がわりに」と渡したのには驚いた。
両親に見送られて、家を出た。仕事を辞めて家賃が払えずに追い出されたときの事を思いだした。
「これは、あなたが仕事したら返さなくちゃね」
彼女はその封筒をバックに丸ごと封を開けずに無造作に入れてしまった。
「俺の仕事ってなんだろう?」
「とりあえず、私の下着を洗濯しておくこと、あとは一緒にごはん食べること、退屈でも猫みたいにふらふらで出かけて家出しないことかしら」
彼女はカルボナーラを頬ばりながら、そう言って笑うと「あんまり緊張しなくていいよ」と、俺の食べかけのサイコロステーキ、ライス付きセットを見た。 
「ひとつちょうだい」
俺はサイコロステーキの一切をフォークで突きさして「あーん」といって差し出すと、まわりの客の様子や店員を彼女がちらっと見てから、ばくっと食べた。
彼女とファミレスで昼食中である。
俺の貯金はあまりないことやアルバイトを本当に辞めていいのかと彼女に質問した。
「煙草代とかないと困るでしょう、あなたの貯金だから私が取ったりしません。アルバイトでふらふらしてたら、あなたがどこかいなくなりそうな気がするから私の部屋にいてください」
「そうですか。お世話になります」
「ふつつかものですが、こちらこそ、よろしくお願いします」
 


このあと、夜に姉に彼女を会わせる約束をしている。俺が彼女を紹介すると電話をかけて言うと、姉は「彼女はお酒飲める人なの?」と言った。
姉は弟とその彼女と会うということに便乗して、家から気ばらしに飲みに出かける気らしいことが、すぐにわかった。
「義兄さんは?」
「連れてきても、あまり話さないでしょう。でも、外でがぶ飲みされたんじゃ、たまらないわよ」
姉が、はははっ、と笑いながら言う。義兄さんはあまり話す人ではなく、酒はかなり強かった。キャバクラでバイトしていた姉を口説くためにかなり店に通って飲んだと聞いている。
見た目は日曜大工好きの熊みたいな雰囲気の人なのに生まれて初めて行ったキャバクラ遊びで姉に一目惚れして、かなり貢いだ。
今は家で晩酌するぐらいらしい。結婚してからは外で飲まないそうだ。
午後7時に駅のそばの居酒屋で待ち合わせで、またまだ時間がある。

「義姉さんと私はお酒を飲むことになる感じね、一度部屋に戻って荷物と車を置いてこなくちゃ。あなたも飲む?」
「遠慮させてもらうよ」
車の助手席に初めて乗ったのは十日前。それから俺は彼女と電話で話したりメールをしたが、彼女の仕事の都合もあり、会えなかった。
彼女と過ごした夜のことを思い出すと、彼女のはじらう顔やなまめかしい裸体を思いだして欲情してしまい、何回もオナニーをした。俺は彼女と暮らしたら、年中勃起して困りそうな気もした。

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