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異世界のリョナラー
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異世界のリョナラー 31



アヴィの攻撃によってノイエンタール王国軍3000はほぼ壊滅してしまった。
あと残ってるのは王都に城兵が50人未満だ。
一方、エーデルラント帝国軍は(僕達はかなり大暴れしたつもりだったが)まだ半分近く…すなわち約2万5000人も残っていた。
「やっぱ力押しじゃあ限界があったか…」
僕が言うとウルサは笑いながら言った。
「それでも3千で5万に対して充分に善戦したじゃないか。オレはずっと傭兵として各地の戦場で戦ってきたが、こんなに血湧き肉踊る戦は初めてだったぜ」

そして僕とウルサは帝国軍の幕営地に招かれた。
豪華な料理が目の前に並べられ、グランディス将軍は僕の前に置かれた杯にワインみたいな酒を注ぎいで言った。
「カズキ、我々は君を客人として歓迎しよう。さあ、飲んでくれ」
「いや〜、ありがたいけど僕お酒飲めないんだ…中学生だし」
「何だ、飲めないのか?だがこれは私から君への敬意と友好の証だ。一口で良いから飲んでくれないか?」
「そこまで言うなら…」
何となく断りづらい。
一口ぐらいなら大丈夫だろう。
僕は杯に口を付けてクイッと一口飲んだ。

それが失敗だった。

「うぅ…!?」
一口飲んだだけで突然視界が歪み始めたのだ。
酒に何か入っていたらしい…。
僕は全身の力が抜け、ぐったりと卓上に突っ伏してしまった。
ひょっとして僕って物理的な攻撃に対しては無敵だけど、薬物には耐性無いのか…?
「カズキ殿!?おのれぇ!貴様一体何を飲ませたぁ!?」
ウルサは剣を抜いてグランディスに詰め寄った。
「なぁに…象を10頭ほど殺せる程度の毒薬をな…普通の人間なら飲んだ瞬間に消化器系から体内が腐り始め、肉が溶けるんだが…」
前言撤回…薬物耐性、ちゃんとありました。
「くそぉー!!」
ウルサはグランディスに斬りかかるが…。
「将軍閣下をお守りしろぉ!!」
ドスドスドス…!!
「ぐはぁ…っ!?」
周囲に控えていた兵士達の槍によって串刺しにされてしまった。
「はぁ…はぁ…」
僕は全身から汗が吹き出し、動悸は激しくなり、呼吸が苦しく息も荒くなった。
グランディスは僕の椅子を蹴倒し、地面に倒れ込んだ僕を見下ろして言った。
「これでも死なんとは…本当に化け物だな。フフ…気に入ったぞ。おい、こいつを牢に入れておけ!」
「は!」
兵士達が僕の手足を掴んで持ち上げて運んで行く。
くそぉ…こんな雑魚共、普段なら一撃でブチ殺してやるのに…。
そんな事を思いながら僕の意識は遠退いていった…。


「カズキ殿!カズキ殿!」
「う〜ん…」
目覚めるとウルサが僕の顔を覗き込んでいた。
後頭部と背中と尻に冷たくて固い感触を感じる。
僕は何やら金属製の床の上に寝かされていた。
ウルサの性格からして膝枕をしてくれるような女性的な優しさは期待していなかったが、そこに関してはこれ以上つっこまない事にしよう。
見回すと床も壁も天井も金属製(鋼鉄だろうか?)の二畳ほどしか無い正方形の部屋に閉じ込められていた。
四方に鉄格子のはまった小さな窓がある。
「な…何だここは!?」
「その窓から外を見てみれば分かるよ…」
僕はウルサが指し示した窓から外を覗いて見た。
四頭の馬の背中が見えた。
「これは…馬車!?」
「そう。しかも猛獣やモンスターの輸送に使う鋼鉄製四頭立てだ。絶対に壊せないぞ」
「ふふふ…こんなもの…ふん!」
僕は壁をブチ破ろうと思って、思いっきり殴った。
ガァ――ン
「…いってぇ〜〜!!!な…何でぇ〜!?」
何と鉄の壁はビクともしない。
僕は痛む手をさすりながら、のた打ち回った。
「カズキ殿、今のあんたには無理だ。その首輪のせいでな…」
「…へ?首輪…?」
言われるまで気付かなかったが、僕の首には何やら首輪のような物がはめられていた。
自分では見えないが、触ってみると何やら金属製で、中央に石みたいな物がはめ込まれている。
「何だこれ?いつの間に…?」
「それは一種のマジックアイテムで、カズキ殿の力を封じているんだ。首輪の中央に入っている赤い石は魔石だろう…」
「何がマジックアイテムだよ!?く…くそ…取れないぃ…」
引っ張っても叩いても首輪はビクともしなかった。
これじゃあ僕は普通の人間じゃないか。
エラい事になってしまった。

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