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異世界のリョナラー
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異世界のリョナラー 29

「まずは、その邪魔な手をどかそうか!」
口を抑えている手を掴みそのまま一気に力を入れる
ボギュッっという湿った抜ける音を立ててアヴィの腕は僕に引かれて空に赤い弧を描いた。
それを見たアヴィは自分の左腕を見る。袖はなくなりそこには筋肉の支えを失った上腕骨だけがダラリと垂れ下がった。
僕は肘から下の骨が抜けたアヴィの腕をいじくっているとショックで声を取り戻したアヴィの悲鳴が上がった。
「ぎゃぁ〜〜ぁ!あ〜・あ〜〜!!」
押さえることもできない傷口に右手は空を掻いていた。
「僕、楽しみの邪魔されて結構怒ってるんだ。どうしてくれようかな?」
腕をブンブンと回しながらアヴィに近づくとグランディスが切り掛かってきた。
爆発の中で爆音と閃光に視力と聴力が慣れたようにノイエンタールでの実践稽古で僕は何度も振り下ろさせる剣や突き出される槍を見て躱すうちに動体視力と瞬発力が身についていた。
やれば箸で切っ先を捉えられただろう。そんな僕はグランディスの剣を人差し指と親指で紙をつまむように捉えた。
こうすると大抵の奴は剣を押したり引いたりして動かなくなる。グランディスは鍔迫り合いのように力を抜かないがそこから動くことはなかった。
僕は軽く剣を引っ張ってグランディスの重心を前に奪うとアヴィの腕を捨てて中指と人差し指を立ててグランディスの右目を抉りぬいた。
「ぎぃ…っ!」
悲鳴をかみ殺して間合いを取るグランディスを守るように少年兵の一人が気声を上げて斬りかかってきたその口に目玉を放り込んで口を塞ぐと目を白黒させて飲み込んだ。
そしてせき込みながら自分が何を飲み込んだか気付くと毒でも飲んだかのようにのた打ち回り正気に戻ると地面に向かって何とか吐き出そうとしていた。
再びアヴィに向かう。
「寄るなぁ!化物めぇ!」
口調は老婆だがその姿は怯えた少女だった。
僕は手を振り上げると「やめろ!」と声がした。
それは血のあふれる眼孔を抑えたグランディスだった。
「何?これからおたのしみの時間なんだよ、君もちゃんと味わって上げるよ」
スコンっと音を立てて僕の抜き手がアヴィの額を射抜いた。
グラリと後ろに倒れかかるアヴィ。何か叫ぼうとするグランディス。
だがその時、アヴィは大きく足を開き踏ん張ると立ち直った。
自分が生きて立っていることにしばし呆然とする。それを見ていたグランディスも痛みを忘れてポカンと口を開いた。
僕は両手を軽く上げて掌をひらひらさせた。
「さて問題です。さっきの数珠玉はどこに行ったでしょう?」
「ジュジュダマ?」グランディスがオウム返しをする。
数珠玉と聞き返そうとしたのだろうか、この世界に<数珠>が無いのか数珠と言う発音が難しいようだ。
アヴィは飾りのことと気付くとハッとして残った腕で額をふれた。
僕は「せーかい」と祝福するとアヴィは震えだした。
それもそうだろう。僕はあの飾りから呪いの力を得るために胎児を母体から掴みだすのをビジョンで教えられた。
さらに腐りゆく羊水に閉じ込められてあの飾りの中で生かされていた。それが自分の頭の中に埋め込まれたのだ。

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