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デッドエンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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デッドエンド 48


私たちをじっと見ていた竜が、不意に長い首と頭を前に突き出した。
思わず身構えるが、竜の口は閉じられたままだった。そのままゆっくりと、顔を伏せるように竜は鼻面を地につけた。
何が起こるのかわからず、私たちは固唾を飲んで竜の動作を見守った。

そこで突然、カシャン、と金属音が響いた。
思いがけない音だった。

竜の首に、人間が立っていたのだ。
一頭に一人ずつ、二名が、巨大な竜の鼻面を伝って地に降り立った。


頭部をすっぽりと覆う流線型の兜の、面頬を深くおろしていて顔はわからない。
だが二人とも女であることは間違いなかった。
ツヤの無い黒い鎧は、薄く打った黒鉄を細かく重ねて接ぎ合わせ、筋肉に沿うような造りになっている。重そうだが、刃の通る隙間はなくそれでいて可動性は抜群の品だ。
体にフィットしているため、なだらかに隆起した胸や、肩幅の狭さ、腰のくびれが見てとれる。
すらりと伸びた脚は黒い鎧下に包まれ、同じような造りの脛当てで保護されていた。
また、腰に装着した、前の開いたスカートのような外衣が長く裾を引いている。
そのせいか、兜さえなければ、女達は真っ黒なドレスをまとっているようにも見えた。

進行方向に降り立った女を、私は見据えた。
小柄だった。背後の女は正反対に大柄だ。

女も、私に向き合った。見えない視線が、こちらに向くのがわかる。
女は地に突きたてていた槍状の武器を、ブン、と音を立てて一振りし、下段に構えた。
槍のように柄が長いが、刃は装飾的な意匠の斧だ。流線型に反っており、槍柄より上部にはみ出した部分が、波状に突起していた。
刃の両面に複雑なつる草の文様が刻まれていて、反射光を美々しく散乱する。
バルディッシュ。だが背よりも柄が長く、斧部分が通常よりかなり大きい。
重量自体も半端ではないだろうが、それが槍柄の突端にあるのだ。
軽々と振り回した女の膂力は、驚嘆すべきものだった。

とりたてて害意を感じたわけではなかったが、私は背中の剣の柄に手をかけた。
いきなり威嚇動作に入る以上、友好的な相手ではないだろう。
私は背後のリオンに向かって、
「リオン、レネーを…」
頼む、と続けようとした。しかしみなまで言えなかった。
リオンが言葉の途中で、ザ、と背後の女に突進したのだ。当然レネーは置き去りだ。
背後の女は段平の剣を上段に掲げていた。リオンは恐れもせずにその懐に組み付こうと踏み込む。
レネーはリオンに巻き込まれないよう、火トカゲとともに岩肌に身を寄せた。
「こらリオン!」

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