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デッドエンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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デッドエンド 45


「黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって」
「口で言ってよ!石とか、普通に死ぬし!」
レネーは速やかに復活して抗議の声を上げた。
「死ぬかよ。手加減して投げてんのに」
「手加減してたら石は投げないんだよ!すぐ手ぇ出すのやめろってば!」
「手は出してない」
「暴力行為に走るなって意味だよ、馬鹿じゃないの?」
レネーがフン、と鼻で笑うと、リオンは掴みかかる勢いで彼に向かった。
「何だと。馬鹿って言った方が馬鹿、」

「いい加減にしろお前たち」
私はパンパンと手を叩いて二人の注意を引いた。
ほとんど子どものケンカだ。しかもごく低年齢の。レネーはまだしも、17歳のリオンがするには恥ずかしい。
二人とも、私が間に入るとすぐに我に返ったようだった。

仲は悪くない…はずだ。子犬がじゃれているようなものだ。
この一月半、ずっとこんな調子だった。鉄拳制裁も幾度か経て、私はそろそろ、幼い兄弟の仲裁をする母親のような気分になってきていた。
結婚どころかまだ恋愛もしたことないのに、理不尽だと思う。

リオンは、口ゲンカのことなど瞬きの間に忘れ、けろりとした顔で向き直った。
「火トカゲ、手に入れてきましたよ」

この村を最後に、ハンゼで物資補給の望める人里は終わる。
あとは隣国に入るまで、自給自足の貧しい集落が点在するのみだ。自然、装備も多くなる。
三人で運ぶには荷が大きくなりすぎたので、火トカゲを一匹買うことにしたのだ。

買い付けにリオンが行っていたのには事情がある。
本来なら雑用のレネーがやるべきなのだろうが、彼はどれだけ口が達者でも子どもだ。
その点リオンは、見た目で甘く見られることはあっても、それを覆す腕力がある。大きな買い物にはもってこいなのだ。

荷物を火トカゲに装着して出発の準備が完了した。
宿代を清算する際、女主人が眉をひそめて、くれぐれも気をつけるようにと言った。
「けっこうな上位ナンバーらしいのもいるって噂ですよ」
私は背に担いだ剣を示して、応えた。
「心配はいらない。これでも、三人とも腕には覚えがあるからな」

13と14がいて、今回はケガもなく、装備は万全。
何事も起こりようがない。
私たちは3人とも、そう高をくくっていた。



隣国との国境までには、険しい岩山沿いの回峰路を通らなければならない。
複雑な地形だ。舗装のきいていないゴロ石の道を、上がったり下がったりが延々と続く。
荷物の大半は火トカゲに負わせているとはいえ、半日も歩くとレネーが参ってしまった。

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