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デッドエンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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デッドエンド 149

侵攻を受けたのは技術面に後れのある国で、大深度集合樹を利用する通信機構がなかった。
そのためその国は、通信の中継地点としてカナンと提携を結んでいた。しかしカナンの混乱のために同盟国への救援要請が遅れたのである。
侵略は速やかに完了した。



※※※※



トルプテン大陸北西部に位置する王国、エルゲンに入国したのは、それから数日後のことだ。

広大な国土の北部に大陸最大の山脈を擁している。
そのためか、かなり高緯度にありながらも、周辺諸国に比べて気候が温暖で、実りも多い。二つの大陸でも一、二を争う豊かな国だった。
だが、エルゲンについて特筆すべきは、その豊かさでも産業でも経済力でもない。
人がエルゲンを語るとき、教科書で学ぶとき、最初に覚えるのはその統治者の名だった。
建国の王ではなく、歴代の王の誰でもなく、ただ一人。
現王の名ソーン・オブ・エルゲン。
ランキング十位までの十名のうちただ一人、生まれながらに王権に近い血統を持っていた男だ。

bR。
『銀王君』と称されている。

彼は、十年ほど前に数人いた上位王位継承権者をおいて即位し、王国の発展に力を注いでいた。


3を戴く国に攻め入る軍はなく、自ら他国を敵することもしない。軍備はもっぱら治安維持を目的として組織されていた。治安の良さもまたこの国の大きな特色だ。
浮いた軍費は減税や多様な保障、福祉制度という形で国民に還元されている。
結果として、王の人気は即位以来高まる一方だそうだ。

国民の愛国心が強く、多少排他的な国だとも言われている。
そう言われるのも無理からぬ話ではあった。

1、2は、今は俗世を離れめったに姿を見せない。4から下も、ときおり銀行やその他の組織に雇われることがあっても、正式に所属したという話は聞かない。
つまりこのエルゲンは、ゴールドクラスを『所有』する唯一の国なのだ。
その国民が、自らの持つ強大な力を誇りに思い、他国の者と自分たちを区別したがるのも当然のことだろう。

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