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月の騎士
官能リレー小説 - ファンタジー系

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月の騎士 5

「わかりました。」
両手に一つずつ荷袋を鷲掴みにし、軽々と両肩に担ぎ上げると、荷馬車へ向け歩き出した。
「おぉおぉ相変わらずの馬鹿力だ。その華奢な腕のどこにそんな力があるのかね。」
「ははは…」
「やっぱり騎士はそれぐらいじゃないと務まらないもんなのか?」
「どう…ですかね。」
曇った表情のラムドに、村長は続ける。
「別にお前が元騎士だからどうとかってつもりは無いけどな。まぁ、世間話みたいなもんさ。気を悪くしたか?」
「いえ、大丈夫です。」
「そうか、で、どうするんだ?」
「?」
「これからさ。アリッサと一緒になっちまうのはどうだ?」
「え?」
「ガキっぽく見えても、アリッサはもう16だ。意外に着痩せする奴で乳も尻も結構あるんだぞ。ラムド先生も気に入る事間違い無しだ。」
ニヤニヤと笑いながら荷袋を荷馬車へ降ろす。
「あ、あはは…アリッサ本人が何と言うか…」
「おいおい冗談だろ?毎朝毎朝お前を起こしに行って朝食の準備して掃除してパンツまで洗ってるんだ。お前を気に入ってるに決まってるさ。」
荷物を置き、ラムドはそのまま荷台に上がる。
「ぱ、パンツは自分で洗ってますよ?」
「そこは重要じゃないぞ。アリッサがお前を好きって事だ。」
「はぁ…」
「ここだけの話、村の若い娘のほとんどがお前に気があると俺は見ている。顔はいい、礼儀正しい、気配りも出来る上にべらぼうに強いときた。ま、村の男は軟弱な奴ばかりだからそうなるのも仕方ないけどな。父として、これは助け船を出してやらねばって訳だ。」
「そうなんですか?」
「…お前さん程、罪な男もそう滅多にいないだろうな。」
村長は溜め息を吐き、馬を走らせた。
畑に向かうまでの間、ぼんやりと空を眺めていた。
「(アリッサと夫婦に…か。そんな未来も悪くないかもしれないな。)」
しかし、心の奥底にあるどうしても捨てきれない物も感じている。
「…ぁ…」
微かに悲鳴が聞こえ、ラムドは起き上がると荷台から飛び降りた。
「ラムド聞こえたか!森の中だ!」
「はい!」

「はぁ、はぁ、ねぇ、大丈夫?」
「あ、足が…」
足を押さえ岩にもたれた娘と、その娘を庇うように前で剣を構えたイラース。
「はぁ、はぁ、ふぅ、ツイてないわね。」
崖を背にした二人に、人型の一つ目モンスター三体がゆっくりと近付く。
「前言撤回だわ。弱いモンスターばかりじゃないのね。まさかこんな人里の近くにサイクロプスが三体も出るなんて…。貴女、後ろの崖を登れる?」
「だ、ダメです…。せめて貴女様だけでも…」
「私はそんな薄情じゃないの。何とかして引き付けるから貴女は這ってでも逃げなさい。」
逃がさないように、少しずつ距離を詰めるサイクロプス。腰に巻いたボロボロの布から、凶悪な巨根がムクムクと首をもたげ上げる。

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