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ドールマスター〜人形師〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ドールマスター〜人形師〜 6

 
「何故かしらね…」
静かに、警戒のみは続けていた紅蓮が、口を開いた。
「やっと会えて、すっかり穏やかになったマイスターは愛しいの。それは本当なのよ?
あの頃の、わずかな記憶に残る、冷たい目をしたあなたは、恐ろしく思うはずなのに…」
柔らかな、少しだけぎごちない笑み。
「あぁ、やっぱり綺麗だなぁ…って思っちゃった。私も、戦場で狂ったままなのね」
ルビーのような澄んだ瞳は、彼女の現実をただ素直にすくい取っていたのだろう。


――――


シャルロッテの指示を受けた兵士たちは、護衛のための最少人数を残して基地に戻った。
彼女の書いた報告書を携え、迎え入れる準備をしてくれるそうだ。
葵には引き払う準備を頼み、紅蓮を休ませた後。久方ぶりに二人っきりで工房にこもる。
 
「随分と、見目麗しく作られますのね」
どこか興味深そうに彼女は見ている。
「師匠の求めてた美しさとは違った、外見のみの美ですわね」
「えぇ…思い出は美しいもの。そうゆうことですよ」
少し皮肉が混じったのは、彼女に引っ張られ戻ってきたからか。
「あらあら、まぁまぁ。ふふっ、平和な人々らしいですわ」
全体を整え、魂の基を込めれば完成だ。あとは軍が届けてくれる。

その日の晩は食材を処分するため、随分と豪勢な食卓だった。
シャルロッテと杯を交わし、紅蓮に葵作の燃料料理をふるまった。
不安を払うように笑いあい、美味に酔いしれた。
蝋燭の最期の輝きか、平原を焼く熾き火の目覚めか。全員が夢幻に飲まれていたのだ。
 
そして深夜遅く。葵と紅蓮は姉妹の絆を確かめるように、ベットを共にしている。
私には伝えられない事もあるのだろう。
だが向かい合うべきは、目の前の彼女だ。
数年ぶりに、同じ部屋で枕を並べる。分かっていたことだが、大人しく寝てくれるはずも無い。
「シャル、良いんですか?」

彼女に押し倒され、上半身に跨られる。息を乱して、獲物を食らう如しだ。
「もう我慢できないよぉ…アー兄ぃ…!」
幼児返りしたような話し方。甘えたいときの癖だ。
そっと頭を撫でてやれば、唇が重ねられ、ピチャピチャと水音が響き渡る。
 
胸元をキュッと握ったまま貪るように吸い付き、舌を縦横無尽に絡ませる。
鼻息が荒くなっているのに気づかないぐらい夢中なようで、彼女の寂しさが伝わってくる。
答えるように腕を回し、抱きしめながら舌で口の中を撫でてあげる。
互いが互いを思いやる時間は、この娘に伝えられなかった何かを取り戻すようだ。
 
チュパクチュ……と舌同士、唇同士を重ねあう時間は永遠に思えた。
だが乱れた呼吸は限界を迎え、どちらとも無く離れてしまう。
潤んだ瞳を向け、荒い息を隠さずにいるシャルロッテ。
その瞼に口付けを落とし、続いておでこ、頬へとキスを与え喉へ。
思わず息を呑む彼女に構わず、鎖骨を通り首筋に舌を這わす。

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