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ドールマスター〜人形師〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ドールマスター〜人形師〜 2

ついに来るべき時が来たか―――。

「葵。お客様をこちらにお通ししなさい」
「は、はいッ・・・!」

イスから立ち上がった私は、報告に来た葵にそう告げた。
彼女の力があればここから逃げることもできるだろうが、私の存在を知った軍が何の用意もしてないとは思えない。
余計な血が流れないようにするための処置だった。
私の命令にあわてて部屋から飛び出していく葵。
玄関のほうで葵が紅蓮と話し合う声が聞こえる。
まさか紅蓮と再び会える日が来るとは思っても見なかった。
軍のことだから、てっきり戦場で消耗品として使われていたものとばかり思っていたが・・・。

「マイスター。紅蓮をお連れしました」
「ああ、ご苦労さ・・・ま?」

ちょっとした感慨にふけっていた私が顔を上げると。
そこには私の予想を超えた光景が広がっていた。
私の作った戦闘人形『紅蓮』は確かにそこにいた。
ただし、右手を失い、千切れかけた左手をだらりとたらし。
人工皮膚を破るほどの傷をいくつもつけた満身創痍の姿で。

「ぐ・・・れん・・・?」

傷口から火花を散らし、うつろな瞳でこちらを見ていた紅蓮は何も言うことなく頭を垂れた。
礼をしたのではない。ついに稼動限界を超えて機能停止したのだ。
とにかく今は彼女を治療(修復)しなくては!
私はすぐさま葵に工具一式を準備するように伝え、紅蓮を介抱したのだった。
後悔と懺悔の想いで潰れかけてる心を押し殺し、工房へ身体を運んだ。
数年振りに抱き上げた身体は、どこか軽く何より重かった…。

「マイスター、準備が整いました…」
葵の顔も、負の感情を押し殺し気丈に振る舞ってる事が分かる程辛そうだった。
「それでは、戦闘人形[紅蓮]の修復を始めます…工具7と9を……」
その日―空と同じような暗雲に覆われた、重苦しい雰囲気での施術が続いた…



――――

次の日の朝。気がつくと、私は工房で机に突っ伏していた。
肩に毛布をかけられているところ、いつの間にか眠ってしまったらしい。
そう言えば、紅蓮はどうなった?そう思った私はあわてて飛び起き、紅蓮が横たわっているはずの机に目をやる。
しかしそこには誰もいない。
私は修理に失敗したのかとバカな考えに走るも、すぐに思い出す。

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