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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 47

翌朝、宿泊地が薄い靄のようなものに、包まれていた。
「いけません、霧が出てきてようです。急いで出発しましょう」
霧が濃くなる前に出発しようと、みな朝食もそこそこに、直ぐ出発の支度を調えた。
出発の前に、ラーストチュカからファニーとアンナに杯が手渡された。
杯にはなみなみと酒がつがれていた。
「どうぞ祝い酒です。出発前にお飲みください」
朝から酒を飲むことに、少し抵抗を覚えたが、縁起物なので断るのも悪いと思い、二人は一気に酒を飲み干した。
酒は少し甘みがあって、とても飲みやすかった。

実はファニーが飲み干した酒は、ボッキ茸から造られた酒で、竿酒とよばれ別名『新妻殺し』とも言われる物だ。
飲んだ者を軽い発情状態に陥りさせる効果がある。
ちなみにアンナのは普通の酒だ。
そんなこととは露知らず、ファニー霧が濃くなる前に出発した。
山道を登るにつれて、靄は少しずつ濃くなり、やがて霧へと変わった。
「離れないように、かたまって行動してください」
ファニーも前の人に離されないように必死で歩く。
だが、ファニーは自分の体に、不思議な感覚が湧き上がってきてることに不安を感じていた。
(何だろう、股のところがヌルヌルするような…)
たぶん生理が近いから、それで体調をくずしているのだろう。
ここで体調が悪いと訴えるわけにはいかない。
顔が赤いと心配するアンナにも、何でもないと答えて先を急いだ。
1時間ほど歩くと、先を行く人の足が止まる。
どうやら目的地についたようだ。
目をこらすと、霧の向こうにメメール山脈に生息しているムーンリンクという種類の熊が、こちらを出迎えるように何頭かたむろしていた。
そして中央に、灰色の毛に包まれた巨大な熊がたっていた。
灰色の熊は、普通の動物とも、魔物とも違う、神々しいまでの存在感を放っていた。
グゥォオオオオオオオオーーーーーー
熊は雄叫びを上げると、ファニーめがけて突進した。
「待ちなさっ」
ドン
ズッサー
止めようとしたアンナは、熊にぶつかり、地面に顔面スライディングをしてしまった。
熊はファニーを抱え上げた。
文字通りのベアバックルだ。
「ひょえ〜」
ファニーは悲鳴を上げるが、熊は気にせず抱きかかえると、そのまま巣穴へと走り込んだ。
この熊こそが、山のヌシだった。
「・・・」
「・・・アンナちゃん、ダイジョブ?」
とりあえず残されたライズとアンナ。
「どうしましょう…姫様が…」
顔面から突っ込んだため、鼻血が出ているアンナだが、それどころでは無いようだ。
「ん〜、まぁ、予定通り…」
ライズが一歩一歩洞窟へ歩む。
「主斬ってでも、ファニーちゃん気絶させてでも連れかえる。」
ライズの顔は笑顔だが、目は完全にヤル気のようだ。
「主が話せるやつだと、無益な殺生しなくて済むのだけど。」
止めに入った子熊達を空手チョップで気絶させながらライズは進む…


「ぬ?全員停止。何か様子がおかしい。」
女の子たち及び支援部隊の総指揮を執るザラディエは、山頂へ再び接近して様子を伺っていた。
だが、密かに接近する彼らの前ではヌシとムーンリンク、それに人間と獣人たちがいた。
「花嫁衣裳の娘が二人、それに熊の獣人・・・??」
ザラディエの横で不審な目で人間たちと熊たちを見るリール。
「私たちと同じことを人間や獣人も考えたのでしょうか?」
そこへ近くにいたロールが言った。彼女たちは今度は邪神官服だ。背後にはさまざまな魔族の女性がいる。
ヌシが人間たちに突進して娘の一人を奪い、そのまま駆け去ってゆく。その後を追う残り2名の人間と2名の獣人。
剣を持った人間が熊を気絶させながら突き進む。慌てて獣人二人が追っている。人間に何かを言っているようだが遠くてよく聞こえない。
最後にはもう一人の花嫁衣裳の娘が続いた。

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