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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 32

女将が驚くのも無理ない、ボッキ茸の旬は秋である。
まだ夏にすらなってないこの時期に手に入る代物ではない。
あるとすればメメール山脈の山頂付近である。
山頂部分は一年のうちの半分が霧に覆われており、様々な茸が季節をとわずに生えている。
「何とか手に入りませんか」
ファニーは女将さんに頼むが、女将さんは難しい顔をして黙り込む。
「何とかしてあげたいけど、山の中は魔物の巣窟だしね。それに山頂には山のヌシがいるしね」
山のヌシ、そんな者がいる事など初耳である。
「あのう、できれば詳しい話を聞かせていただけませんか、僕たちここへ来るのは初めてなもので」
早速ライズが情報収集をはじめる。
美形のライズに話し掛けられ、女将さんは顔を真っ赤に、しかし嬉しそうに答える。
「あらやだ、アンタみたいな若い子に聞かれたら答えないわけにはいかないわね」
女将さんは山に住む魔物とヌシについて話し始めた。

「ふむ、山中の雑魚はオーガやコボルト。 時折ジャイロバード。
主はとっともでっかい何か…か。」
おばさんの話を聞き終るとライズは紙にカリカリと書き始めた。
「ま、これくらいなら姫さんでも倒せるだろう。 はい。」
書き終えた紙を渡される。 そこにはそれぞれの魔物の特徴・性質・弱点が細かく記されていた。
「・・・」
紙と、ライズの顔を交互に見る。
こ、こいつ、意外と博識?
ファニーは少し感心した。 だが、次の瞬間幻滅した…
「お嬢さん…どうです? 私と一杯?」
たまたま酒場に居た村の若い女性を口説いていたのだ。
「ちょっとお兄さん、まだ話は終わってないよ」
話の途中で席を立たれ不機嫌になる女将さん。
ライズは目にもとまらぬ早技で戻ると、百万ドルの笑顔で機嫌をとる。
「失礼、わたしの早とちりでした。幾重にもお詫びいたします」
そう言われると女将さんも直ぐに機嫌をなおした。
「後は獣人だね、人狼族や獅子人が多いね。警戒心が強いから、大人数でいくと争いになるけど、少人数で行けば問題ないよ」
メメール山脈には獣人の集落が多数ある。
メメール山脈はモンデール、ドーリス、それに北のセーブル王国にまたがっている。
かれら獣人はこの3国から独立した存在だ。
「獣人か、こいつはやっかいだな」
「心配しなくても、わたしが紹介状を書くから戦いにはならないよ、息子が二人住んでるしね」
実は女将さんの亡くなった旦那は獣人で、息子は獣人なので山の集落に住んでるのだ。
ちなみに今ライズがナンパした女性は女将さんの娘だ。
「それとやっかいなのゾンビやスケルトンなんかのアンデットだね、山じゃ三ヶ国の兵隊さんがいっぱい死んだからね。今でも成仏しきれずに彷徨っているんだよ」

「ありがとう、女将さん。」
ファニーはお礼を言い、紹介状を受けとる。
「今から山に入るには時間が遅いから、今日はゆっくり休みなさい。 美味しい料理を作ってあげるよ。」

少し夜もふけた頃、三人は明日の事を話していた。
「昼間も言ったが、オーガやコボルトは姫さんでもやれる。
主はわからないが、雑魚のレベルから考えるとグランドファングか大山猿だと思う。 予想はね。
問題はゾンビ。 あれは姫さんには荷が重い。」荷が重いと言われ、むっと来たファニー。
「なんでよ! あんなの骨でしょ! 大丈夫よ!」
同じ無理でも、ティーエに言われるのとライズに言われるのでは、気分が違った。

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