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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 28

「…以上が被害と我らの軍隊の状況です。」
王を寝室へ送り、戻ってきたハワード伯がファニー達に現状を伝える。
するとファニーが勢い良く立ち上がり。
「許せない…こうなったら私が成敗しに行く!!」
父親と同じようなセリフと共に傍らの愛剣掴み、部屋を飛び出そうとする。
だが途中でハワード伯に押しとめられた。
「無茶です姫様! 相手はまだどれだけ残っているかわからないのですぞ!」
だが、ファニーの心についた火は簡単には消えない。
しばらく伯と言い争っていたが、ここでティーエが口を開いた。
「…追撃とはいかなくとも、敵の行方を知る必要はあります。」
「それについてはコルト子爵から報告があります」
ハワード伯に促され、軍務大臣のコルト子爵が調査結果を報告する。
「夜明けと同時に索敵部隊を組織しました。襲撃により軍馬がすべて失われたので索敵は困難を極めましたが、馬車の轍や敵の遺失物によりだいたいの方角は分かりました」

「敵は街道を北西部へとすすみ、途中で旧街道へと進みメメール山脈の山中へと入っていったようです」
メメール山脈は昔から山賊や魔物の住処として知られ、この近辺では魔境として恐れられている。
「何度か索敵部隊を送っていますが、奥へいった部隊は誰も戻って来ておりません」

「魔物の軍勢にやられたのでしょうか」
「確かなことは、何しろ戻ってきた者がおりませんので」

「そんなチマチマと小勢を送ってないで、一気にドカッンと大部隊を送りなさいよ」
コルト子爵の長話に我慢できなくなってファニーはつい大声をあげてしまう。
「それはいけません。そんなことをすればドーリスと戦争になります」
そう発言したのは外務大臣であるポルト伯爵である。
ドーリス王国は長年モンデールと敵対関係にある国だ。
「ドーリス国境付近で大軍を動かせば戦争になります」
「何でよ、わたし達はドーリスを攻撃するんじゃなくて魔物を討伐しようとしてるのよ。それでどうして戦争になるの」
「しかし、事情を知らないドーリスにしてみれば侵攻の前触れとして映ります。ここはまずは使者を派遣し事情を説明しなくてはなりません」
「・・・その使者が戻るのはいつ頃なの」
「ドーリスの首都モリスまでは馬で約五日、直ぐに返事が来るにしてもあと4日はかかると思います」
それでは遅すぎると思ったが、ポルト伯の考えは決して間違ってはいなかった。
その日の会議で決まったことは、北東部国境に向かった主力騎士団を一刻も早く呼び戻すこと、冒険者ギルドを通じて冒険者を雇いメメール山脈を偵察させることだった。
会議を終えると、ファニーは宮廷医師であるモレル医師に父王の容態をたずねた。
「あまり良くありません。心臓がかなり弱ってます」
ヘンドリック王の容態はかなり悪く、ミスラ神殿のテリベリウス司祭の神聖魔法も効果はなかった。
「何か特効薬とかないの」
ファニーはわらにもすがる思いで尋ねる。
「そうですね、メメール山脈に自生しているボッキ茸を生のまま食せば回復するのは間違いないのですが」
「ボッキ茸!?それさえあればお父様の容態はよくなるの」
特効薬があると聞いて目を輝かせるファニー。
しかしモレル医師の次の一言で、直ぐに落ち込むことになる。
「しかし、生のボッキ茸はこの季節には出回ってません。メメール山脈の山頂付近なら生えてますが魔物が徘徊していてとても行き着きません。秋ぐらいになれば麓でもとれるようになるのですが・・・」
「そうなの・・・」
「とにかく今は養生に専念することです。秋魔で待てば必ず手にはいるのですから」
「今は、待つしかないのですね」
口ではそう言ってるが、ファニーには待つ気はさらさら無かった。
(こうなったら、わたしがメメールまで行くしかないわね)
心の中でそう考え、そしてそれを今夜にでも決行する気でいた。
「もう一つ問題がございます」
「えっ…まだあるの?」
「はい。ボッキ茸には副作用として発狂するほど強い催淫作用がございます。これを発散させねば助かっても廃人となってしまうのです」
意外にウブなのかファニーの顔がみるみる赤面していく。
「発散って…やっぱアレ?」
「はい、性行為です。それも愛が無ければなりません」
「愛……」
そけが今の父王には絶望的だった。
ファニーの母たる王妃は既に亡い。側室も居ない。つまり王と愛のある行為が成立する女性が居なかった。
ファニーの顔が今度は青ざめる。それではたとえすぐにボッキ茸を手に入れても王は助からない。

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