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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 164

魔王統治下の人間の国が、どのような状況にあるのか関心を持つことは、一国の為政者として当然のことだ。
もちろん好きな人の国のことを知りたいという、乙女心もある。
ファニーは過酷な圧政が強いられていると想像していたが、レイの返事が驚きべきものだ。
「いたって平穏、はっきりといって平和そのものですよ。むしろトルシア王家が治めていた頃よりも、民は豊かに暮らしてます」
レイは自嘲的な笑顔を浮べながら答えた。

トルシアは地味豊かな農地を抱え、富強な国として知られていた。
だが内に住む民の暮らしは貧しく、一部の貴族と聖職者だけが富を独占していた。
その原因は、ライズの曽祖父に当たるフランソワ14世の政治にあった。
トルシアの歴史の中でも愚帝として名が残っているフランソワ14世は、希代の好色家であった。
美女と見るやすぐに王の権力で手に入れていた。 例え人妻だろうと。
「美女一人差し出すごとに金貨20枚と、国の法律に組み込んだ人です。 才ある者達は皆国を出ていき、残ったのは愚にもつかない者ばかり………
先王のライツェン様が美女令の取り止めと国外に出た賢者達にわざわざ懇願して戻ってもらわなかったらどうなっていたか。」
ライツェンとはライズの父であった。
「殿下、少々よろしいですかな?」
サムエルが急にライズを呼び、さらに部下達がライズの左右に立った。
「………なんだ?」
次の瞬間左右に居た騎士がしっかりとライズの腕を拘束した。
「お、お前ら!?」
ファニー達も驚いたが、近くにいるレイ達が何かする雰囲気ではない。 いや、むしろ少し笑っている気がする。
「殿下、失礼ながらトルシアまで逃げないように拘束させて頂きます。」
淡々と言うサムエルに対して徐々に意味がわかりだしてきたライズは少し焦っているようだ。
「い、一応問おうか。 誰の命だ?」
ライズの問いにサムエルはニコリと微笑んだ。 それは実直そうなサムエルの印象が優しさも混ざる感じをファニーは覚えた。
「ジェンス・リューグ様です。 殿下。」
「あ、あはははは………」
ジェンス・リューグと聞いたライズはダラダラと汗を流しながら苦笑していた。
「サムエル、見逃してくれないか?」
「申し訳ありません、殿下と言えどもライズです。 ジェンスの命には逆らえません。」
さっきからライズだのジェンスだのファニーの解らない言葉が飛び交っていた。
「ねぇ、レイ………さん? さんでいいのかな。」

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