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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 13

「まったくもう失礼しちゃうわ」
ファニーはプリプリ怒りながら廊下を歩いている。
予選を終え、メディカルチェックを受けるために医務室へ向かう途中なのだが、ファニーの機嫌は曲がりっぱなしだ。
予選の結果は3試合ともすべて勝利して、ストレートで本選へと進める最高の結果だった。
しかし、それでもファニーの機嫌が悪いのは、試合中に客席から飛んだ野次のせいだ。
この時代、女戦士の存在はそれほど珍しいものではなかったが、ファニーのような若く美しい剣士はまれだった。
その珍しさから、聞くに堪えられないような野次が終始飛んできたのだ。
さらにいらつかせるのが、自称評論家達だった。
彼らはファニーの戦いぶりをあーだ、こーだと言って批評する。
予選はせまい小闘技場で行われるので、小声でも聞こえてくるのだ。
「どいつもこいつも人を馬鹿にして、そんなに言うなら自分で戦いなさいよ」
「姫様、もうそれぐらいで・・・」
「でも」
「もう医務室ですよ、そんな顔で言ったら失礼にあたりますよ」
「はーい」


「ふむ、どうやら特に問題は無いようね」
 医務室でファニーの診察をした女医がカルテに『異常なし』のハンコをポンッと押して、ファニーのメディカルチェックは終了した。
「それにしても、今年の女性陣は凄いわね」
「?」
「診察はあなたで最後なんだけど、本戦出場者の半分の8人が女なのよ。」
「へぇ〜…」
「まっ、最近の女は強いってことね……それとも、男が弱くなったのかな」
 クスクスと笑いながら女医はファニーに一枚の紙を手渡した。
「はい、これ試合の日程表。明日は開会式とトーナメントの抽選だけだから、よく休んでおくことね」

〜アイラ剣術大会日程表〜

 1日目 予選
 2日目 開会式・抽選
 3日目 1回戦第1試合・1回戦第2試合
 4日目 1回戦第3試合・1回戦第4試合
 5日目 1回戦第5試合・1回戦第6試合
 6日目 1回戦第7試合・1回戦第8試合
 7日目 2回戦第1試合
 8日目 2回戦第2試合
 9日目 2回戦第3試合
 10日目 2回戦第4試合
 11日目 準決勝第1試合
 12日目 準決勝第2試合
 13日目 前夜祭
 14日目 決勝戦



「ふぅん…一日に試合は一回か二回だけなんだ…」
「そうよ。でも、前座の試合や大道芸なんかのショーがあるから、闘技場は朝から大賑わいよ」
「……」
(もしかして、私達って客寄せパンダ?)
翌日、アイラ島は大勢の観光客でにぎわっていた。
ポンポンと花火が打ち上げられ、道々には屋台が並び、辻芸人達が芸を披露し、道行く人たちの目を楽しませた。
開会式は簡素な物で、マイリー神殿の最高司祭による開会の挨拶と、ルールの説明、それに抽選会だけ行われた。
ただ抽選中は音楽が鳴り、結果が出るたびファンファーレが鳴り響いたのが印象的だ。
ファニーはなんと1回戦第一試合をひき。、明日にはもう試合を行うことになった。

「本当に剣術大会というよりは、ただのお祭りね。荘厳な雰囲気なんてまったくないじゃない」
呆れたように辺りを見渡すファニー。
「申し訳ございません、なにぶん神殿や孤児院の維持にはたくさんのお金が必要ですから」
自身がマイリーの司祭であるアンナは、恐縮して頭を下げてしまう。
「そんなにかしこまらないでよ、それにお祭り騒ぎは嫌いじゃないしね」
不満そうな顔から、一転して笑顔に変わると、辺りの店をきょろきょろと眺める。
「あっ、占いの店ですって、行ってみましょう」
ファニー占いの看板を出してるテントへ入ってゆく。
「姫様かっていかないでください」
アンナとティーエもそれに続いた。
テントの中には白髪頭の老婆が一人、それに小さなテーブルと椅子、それに水晶玉があった。
「おや、珍しい。こんな寂れた店に客が来るなんて、何年ぶりだろうね」
老婆はニコニコ笑いながら話しかける。
それは占い師というよりは、近所の話し好きなおばあさんといった風情だった。
「せっかくだからお茶でも入れようかね、そうだもらい物のお菓子もあるんだよ」
お茶の準備をする老婆を、ファニーは押しとどめた。

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